公金横領で有罪判決を受けたマリーヌ・ルペン氏(写真:AP/アフロ)

フランスで極右勢力を率いてきた国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン前党首が、巨額の横領事件で有罪判決を受けた。次期大統領選に立候補できなくなる可能性が高まったことに対し、国内の支持者のみならず、トランプ米大統領を含む世界の極右やポピュリストらが一斉に「魔女狩りだ」などと裁判所を批判している。極右やポピュリストの台頭で民主主義が危機に晒されているが、司法の独立性まで危ぶまれる事態になっている。

(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)

 仏極右「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン前党首(56)が欧州議会の公金を不正に流用したとして、3月31日にパリの刑事裁判所で有罪判決を受けた。この結果により、ルペン氏は2027年に予定されている大統領選への立候補が危ぶまれている。

 裁判所はルペン氏に対し、10万ユーロの罰金と4年の禁固刑(うち2年は執行猶予、残り2年は自宅軟禁)、その上今後5年間の被選挙権の即時停止を言い渡した。同氏は控訴している。

 国民連合はルペン氏への判決が、大統領選から同氏を排除するためのものだと反発。4月6日にはパリ中心部で「民主主義を守れ」という集会を開いた。ルペン氏はこの場で「これは法的な判断ではなく、政治的なものだ」とし、判決が同氏に対する「魔女狩り」だと主張した。「民主主義と法の支配を守る」ため、法廷で争う姿勢を鮮明にしている。

 ルペン氏が問われた罪とはどのようなものだったのか。