イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの侵攻が続いています。2023年10月7日以降、3万4000人以上のパレスチナ人が犠牲になりました。イスラエル軍はさらに攻勢を強め、150万人が避難するガザ最南部ラファへの攻撃にも踏み切っています。一方、イスラム組織ハマスの人質になったイスラエル人の解放の見通しも立っていません。
こうしたなか、米国、カタール、エジプトが仲介に乗り出し、停戦交渉が進められています。ハマスは停戦案受け入れを表明しましたが、イスラエル政府は譲歩する姿勢を見せず、停戦協議は成果を挙げずに終わったと伝えられました。停戦協議の行方は今後、どうなるのでしょうか。そもそも停戦交渉はどのように進められているのでしょうか。専門記者グループのフロントラインプレスがやさしく解説します。
3段階の停戦案
今回の協議では、イスラエルとハマスの代表団がエジプトの首都カイロに集まり、停戦と人質解放に向けた交渉を続けました。そのなかでハマスは、カタール、エジプト両国が示した停戦案の受け入れを表明しました。
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カタールに拠点を置く放送局、アルジャジーラによると、停戦案はそれぞれ42日間ずつの3段階に分かれています。
第1段階では、イスラエル人の人質33人と、イスラエルに捕らえられているパレスチナ人数百人を交換します。
第2段階ではイスラエル軍のガザからの完全撤退。
そして最終の第3段階では人質全員の解放とガザの封鎖解除を行い、国連の監視の下、復興計画に着手するという内容です。
イスラエル側は「自分たちの要求とかけ離れている」と批判し、拒否する姿勢を崩しませんでした。ネタニヤフ首相は「ハマスの壊滅」をガザ攻撃の目標に掲げています。ガザからの完全撤退を認めれば、「負け」と考えているのでしょう。
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ガザ住民の大半が飢餓状態にあるなか、このままでは、さらなる集団殺害(ジェノサイド)が繰り広げられる恐れがあります。イスラエルによると、ハマスに捕らえられた人質130人余りのうち約30人が死亡しているとみられています。生き残っている人たちの解放もさらに遠のくことになりそうです。