カタールには他のアラブ諸国や米国から批判も
ただ、カタールの進める「全方位外交」は時にあつれきも生みます。アラブの春が終わった後、サウジアラビアやエジプトなどからはムスリム同胞団との関係を断つよう迫られ、2017年から3年半、これらの国々に国交を断絶されました。
最近も米国の有力下院議員から「ハマス幹部をカタールから追放すべきだ。米国とカタールの関係も見直さなければならない」と迫られています。
在米国のカタール大使館は4月半ば、声明を発表し、ハマスとの仲介は「2012年に米国から要請されたものだ」と言及し、仲介には長い歴史があるのだと表明しました。そのうえで、過去に何度も両者の停戦を実現させてきたと指摘。「仲介役(カタール)への非難や脅迫は建設的ではない。特に、中東最大の米軍基地を持ち、1万人の米兵を受け入れている友人に対しては」と皮肉たっぷりに反論しました。
敵対する勢力と関係を保ち、紛争を仲介することで、カタールは自国の安全保障上のリスクを減らしているとも言えます。今回のガザ紛争では、紛争勃発から間もない昨年11月にハマスに拘束されていたイスラエルの人質80人余りが解放されましたが、これもカタールの仲介によるものです。