
6月13日にイスラエルはイランの核施設などを奇襲攻撃した。イランもイスラエルに報復攻撃を行った。そして、22日には、米軍がイランの核施設を攻撃し、バンカーバスターなどによって地下施設も標的にした。そして、25日には両国間で停戦が実行に移された。
イランの弱体化
NATO首脳会議に出席したトランプ大統領は、イスラエルとイランとの「12日戦争は終わった」と明言し、来週にはイランと協議を行うと述べた。
停戦合意が着実に守られるかどうかを注視する必要があるが、今回の戦争がもたらした中東における変化を読んでみたい。
第一は、この地域の大国、イランの弱体化である。イランは、イスラエルとアメリカの攻撃によって、軍事的に大きな打撃を受けた。兵器や軍事施設のみならず、司令官や核関連の科学者が殺害されるなど、人的被害も大きかった。
イランが支援してきた諸組織、別働隊であるヒズボラ、ハマス、フーシ派なども大きく力を削がれている。レバノン南部に拠点を置く民兵組織ヒズボラは、イスラエルに攻撃され、昨年9月には最高指導者ナスララ師が殺害された。レバノン南部にはイスラエル軍が駐留している。
また、パレスチナのイスラム組織ハマスもガザでの戦闘で壊滅状態にある。さらに、イエメンの武装組織フーシ派も、米軍による攻撃で、かつてほど自由に行動できなくなっている。
また、昨年12月には、イランと緊密な関係にあったシリアのアサド政権が崩壊した。今のシャラア暫定大統領は、アメリカや穏健な湾岸諸国との関係改善を急いでいる。そして、イスラエルがイランを攻撃したときに、シリアの空域通過を許可している。