(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)
4月14日に行われたイランによるイスラエル攻撃は、各紙が“異例”“前例のない”と書く直接攻撃でした。筆者も、何らかの攻撃は行われると思いながらも、イランからの直接攻撃は予想していなかったため、これには驚かされました。
しかし、この攻撃はかなりの規模であったにもかかわらず、ほとんどが迎撃されました。迎撃に多額のコストを要したものの、イスラエル側の被害は非常に軽微なものだったと言ってよいでしょう。
これにはカラクリがありました。イスラエル自身や周辺に展開する米軍、フランス軍だけでなく、サウジアラビア、ヨルダン、トルコなどが軽重の差はあれ、迎撃に協力したことが大きく影響していました。特に、サウジとヨルダンは、イスラエル機や迎撃ミサイルの領空通過を許すだけでなく、自軍の地対空ミサイルや戦闘機を使用して、ドローンや巡航ミサイルを迎撃しています。