TBS系ドラマ『地獄の果てまで連れていく』公式ホームページより

(小林偉:放送作家・大学教授)

連続ドラマ枠が史上最多の状態

 筆者はドラマファンとして、そしてドラマ研究家として、かれこれ30年以上にわたってドラマウォッチを続けてきておりますが・・・現在は一週間に放送される連続ドラマ枠が、恐らく史上最多の状態になっていると思われます。NHK・民放(東京キー局)だけに限っても、2025年1月クールが39枠。23年前の2002年1月クールが18枠でしたから、倍以上に増枠されたことになります。

 以前もこちらで書かせていただきましたが、その背景には、テレビ離れなどによる広告収入の減少→制作費削減→再放送がしづらいバラエティ枠から、何度も再放送可能でソフト化しても一定程度の売り上げが見込めるドラマ枠への転換という流れが加速したこと。さらに、配信などで親和性の高い30分という短い尺(放送時間)の枠の増設化などが後押ししているのが、主な理由と思われます。

 ここまで連続ドラマ枠が激増すると、現場の悩みとして浮上するのが、出演俳優不足。各テレビ局ともに、旬で、ある程度の力量のある俳優を起用したいと考えるのは当然のことですから、絶対数は必然的に足りなくなっているわけです。

 そうなると生じてくるのが、様々な意味で定評のある俳優の“掛け持ち出演”の増加。そこで今回は、2025年1月クール(1月から3月)に放送された各局の連続ドラマに“掛け持ち出演”していた、現代の売れっ子俳優にスポットを当ててみたいと思います。