(小林偉:放送作家・大学教授)
2010年が転換点となった朝ドラ
前回は、NHK連続テレビ小説、通称“朝ドラ”のヒロインについて、その歴史と原点を深掘りさせていただきましたが、今回は、その現在と未来について書かせていただこうと思います。
現在放送中の『虎に翼』が通算110作目となる“朝ドラ”。現在、地上波のNHK総合では午前8時ちょうどから8時15分までの1話=15分で放送していますが、1961年の第1作『娘と私』は、午前8時40分から9時までの1話=20分。翌年の第2作『あしたの風』から午前8時15分から8時30分までの15分となり、そのスタイルが2009年10月スタートの第81作『ウェルかめ』まで47年にわたって続けられました。
この間、特に21世紀に入った頃から視聴率の低迷が囁かれ始めたことから、NHKは遂に英断を下します。2010年4月スタートの第82作『ゲゲゲの女房』から開始時間を15分早め、午前8時ちょうどスタートとしたのです。これが功を奏してか、以降、朝ドラ人気は回復基調となり、現在に至るというワケです。背景には、15分早めたことにより、通学・通勤前の若年層が視聴可能となる率が増し、間口が広がったとの指摘が大勢。いずれにしても、朝ドラにとって2010年が転換点となったのは間違いありません。
さて、その転換点たる2010年春以降、朝ドラの主人公にはどんな俳優が起用されてきたのでしょうか。その顔ぶれをリスト化してみましょう。
※カッコ内は、放送開始当時の主演俳優の年齢(年/春/秋)
2010/松下奈緒(25)/瀧本美織(19)
2011/井上真央(24)/尾野真千子(29)
2012/堀北真希(23)/ 夏菜(23)
2013/能年玲奈(のん・19)/杏(27)
2014/吉高由里子(24)/玉山鉄二(33)
2015/土屋太鳳(20)/波瑠(24)
2016/高畑充希(24)/芳根京子(19)
2017/有村架純(24)/ 葵わかな(18)
2018/永野芽郁(17)/安藤サクラ(32)
2019/広瀬すず(20)/戸田恵梨香(31)
2020/窪田正孝(31)/杉咲花(23)
2021/清原果耶(19)/上白石萌音(23)深津絵里(49)川栄李奈(26)
2022/黒島結菜(25)/福原遥(24)
2023/神木隆之介(29)/趣里(33)
2024/伊藤沙莉(29)/橋本環奈(25)
2025/今田美桜(28)/???
以上、既に発表されている今年秋と来年春の2名も含め、31作33名。本当に人気者ばかり、錚々たる顔ぶれですよね。
男女別ですと、男性3名、女性30名と1対10の比率ですから、やはり“朝ドラ=女性の一代記”と言っても過言ではないでしょう。ちなみに平均年齢は25.4歳。男性の場合はアラサーばかり(平均31歳)で、女性だけに限ると24.9歳と6歳ほど若くなるという点も指摘しておきます。