渋谷凪咲の大活躍
2025年1月クールで最も売れっ子だったのが、元NMB48のアイドル、渋谷凪咲です。『私の知らない私』(日本テレビ系)では、主人公である羽田芽衣(小野花梨)の高校時代からの友人役、『離婚弁護士 スパイダー シーズン2〜偽りと裏切り編〜』(日本テレビ系)では、主人公・美雲飛鳥(高橋メアリージュン)の弁護士事務所に雇われている調査員役、そして『地獄の果てまで連れていく』(TBS系)では、かつて主人公・橘紗智子(佐々木希)を殺しかけ、その父の命を奪った殺人鬼である人気インフルエンサー兼ピアニストという役と、実に1クールで3本のドラマに、物語上重要なポジションで掛け持ち出演していました。
中でも『地獄の果てまで連れていく』での役は、笑顔を絶やさずに残虐に人を殺し続ける女。番組の冒頭に「このドラマには残虐なシーンがあります」との断りテロップが出されるほどの凄まじさでした。返り血を浴びても高笑いしている渋谷凪咲の姿を観るに「この方、元アイドルなのにこんな役を演じて大丈夫なのか?」と心配になるほど(笑) これまで僅かなドラマ出演のみだった彼女が量的にも質的にも“勝負”をかけてきたということかもしれませんね。
そんな渋谷凪咲と『私の知らない私』『離婚弁護士 スパイダー シーズン2〜偽りと裏切り編〜』の2作で共演していたのが、渋谷謙人(同じ苗字ですが、特に血縁関係はないようです)。彼は子役出身ということもあって、様々な役柄をこなせるためか、近年数多くのドラマに出演しています。この2作の他にも『問題物件』(フジテレビ系)にもゲスト出演、彼も1クールに3本の掛け持ちでした。
また、その『問題物件』にゲスト出演していた他、『御曹司に恋はムズすぎる』(フジテレビ系)、『相続探偵』(日本テレビ系)と3本掛け持っていたのが、小関裕太。彼も子役出身、その端正なマスクも相俟って近年のドラマに引っ張りだこの一人ですね。
子役出身でもう一人、森永悠希も『問題物件』にゲスト出演した他、『未恋~かくれぼっちたち~』(フジテレビ系)、『TRUE COLORS』(NHK)にレギュラー出演と3本掛け持ちしています。
ベテラン俳優では、野田秀樹主宰の「夢の遊眠社」出身・・・と言うよりも『踊る大捜査線』(1997年/フジテレビ系)での魚住二郎係長役でお馴染みの佐戸井けん太も、『相続探偵』『問題物件』に加え、『法廷のドラゴン』(テレビ東京系)と3本に、全てゲスト出演ながら掛け持っています。独特な飄々とした味わいの、熟練した演技は、現在の連ドラ界で重宝されているということでしょうね。
・・・とここまでが1クール3本掛け持ちという剛の者たちですが、2本掛け持ちはたくさんいます。
イケメン俳優の渡邊圭祐は、『財閥復讐~兄嫁になった元嫁へ~』(テレビ東京系)に“主演”しながら、『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)の、主人公・若月まどか(芳根京子)の恋人役を掛け持ち。
元ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト「理想の恋人賞」受賞者・戸塚純貴は、『アンサンブル』(日本テレビ系)と『ホンノウスイッチ』(テレビ朝日系)に掛け持ち。しかも、同じ土曜日の22時スタートと23時スタートの連ドラに、局を跨いではしご出演するという凄さでした。
実はこの局を跨いでの連ドラはしご出演では、かつて凄い記録がありまして・・・1999年7月クールで『踊る大捜査線』の神田総一朗署長役でお馴染みの北村総一朗が、『田舎で暮らそうよ』(テレビ東京系/20時スタート)、『恋愛結婚の法則』(フジテレビ系/21時スタート)、『甘い生活。』(日本テレビ系/22時スタート)と、同じ水曜日に3本はしご出演という大記録(?)を打ち立てています。多分、もうこれは破られないでしょうね・・・。
さらに『ホンノウスイッチ』に出演していた野波麻帆は『いきなり婚』(日本テレビ系)も掛け持ち。
丸山智己も『ホンノウスイッチ』と『家政婦クロミは腐った家族を許さない』(テレビ東京系)に。今井朋彦は『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~』(フジテレビ系)と『御上先生』(TBS系)に。元モーニング娘。の工藤遥も『いきなり婚』と『御上先生』を掛け持っていました。
こうして、掛け持ち出演する連ドラ売れっ子俳優たちは、若手もベテランも関係なく、数多く生まれているのが現状なんですね。ご本人たちの力量は勿論のこと、所属事務所の営業手腕などもあってのことだと思いますが・・・連続ドラマ枠の激増は、俳優界の勢力地図も塗り替えるという副産物も生みつつあるのかな・・・筆者はそんな風にも考えさせられた次第です。 ※文中敬称略