米大統領選で有権者が注目するテレビ討論会(写真:AP/アフロ)
  • バイデン大統領とトランプ前大統領のテレビ討論会が開かれ、生中継したCNNの視聴者調査では、67%がトランプのパフォーマンスの方が良かったと答え、33%だったバイデンを大きく上回った。
  • 以前から懸念材料と指摘されてきた健康不安の払拭を目指したバイデン大統領だったが、年齢による衰えは隠せず、民主党からも「(討論会は)惨憺たる結果」との声が出ている。
  • メディアからはバイデン大統領の辞退を促す論調も聞かれる。本人の決断次第だが、仮に若くて進取の気性に富んだ候補者が登場すれば、選挙戦が一変する可能性もある。

(小原 雅博:東京大学名誉教授、元外交官)

討論会の軍配はトランプに

 6月27日夜(日本時間28日午前)、バイデン大統領とトランプ前大統領との最初のテレビ討論会がCNNを通じて行われた。

 11月の大統領選挙で誰に投票するかを尋ねた各種世論調査の結果によれば、トランプ氏がわずかにリードする形で大接戦を繰り広げている。討論会での出来不出来は選挙戦の流れを変えかねない。

 特に、リードされているバイデン大統領にとっては挽回のチャンスであり、山荘に一週間こもって準備に専念したと報じられた。

 そんな討論会の軍配はどちらに上がったのか。

 過去の討論会では、発言の中身もさることながら、発言のスタイル、表情、所作がより大きな評価のポイントとなってきた。今回、両者の発言やパフォーマンスは有権者にどんな印象を与えたのだろう。選挙のカギを握る無党派層や態度未定者にアピールできたのはどちらだろう。

 討論会後に米国内から出て来た反応はトランプ勝利である。生中継したCNNの視聴者調査では、67%がトランプのパフォーマンスの方が良かったと答え、バイデンの方が良かったと回答した33%を大きく上回った。

払拭どころか強まったバイデン氏の健康不安

 最大の理由は、バイデン氏が見せるべき力強さやスタミナを見せられなかったことである。