ロシアの歩兵部隊が手にしている武器はシャベルか第二次大戦時代の遺物
――米国の専門家は、東部ドネツク州の要衝バフムートでロシア軍が甚大な損害を被っていると言っていますが、どう思われますか。
ロペス ロシア軍と露民間軍事会社ワグネル・グループは、はっきり分かるほど大きな損害を被っている。歩兵部隊はシャベルや第二次大戦時代の武器でウクライナ軍の陣地を攻撃している。ロシア軍の戦車や装甲車は先の大戦以来のペースで破壊されている。
ロシア軍は倉庫の中で眠っていた1950年代、60年代、70年代の戦車を持ち出すことを余儀なくされている。これらは旧ソ連時代の中戦車T54(1946年採用)やT55(58年登場)、主力戦車T62(65年登場)と、そして数十年前の大砲だ。
――ウラジーミル・プーチン露大統領と「プーチンの料理番」ことワグネル・グループ創設者エフゲニー・プリゴジン、2014年の東部ドンバス紛争で親露派分離主義武装勢力を指揮した極右の国家主義者イゴール・ガーキン元ロシア軍司令官間の対立をどう見ていますか。
ロペス 誰もが権力パズルの中の自分のピースのために戦っている。プーチンはオリガルヒ(新興財閥)と情報機関のヒエラルキーに激変がない限り、権力の座を維持するのに最も適した位置にいる。しかし、ヒエラルキーに激変が生じた場合、プーチンの権力基盤は崩壊し、ウクライナとの和平を急ぐ必要が出てくる。
プリゴジンは、米海軍の元軍人で米民間軍事会社ブラックウォーターUSAの創業者として知られるエリック・プリンスを思い起こさせる。プリゴジンも、プリンスと同じように常に政府の巨額資金が彼らの次の作戦を支援してくれることをあてにしている。
プリゴジンにとっての問題は「ウクライナで最も謎めいた場所」とされる“バフムート・トライアングル”で被った甚大な損失と、プーチンや軍、国防省との激しい口論である。プリゴジンは勝っている時は支持されていたが、今はロシア軍と同じように、戦場での敗北が彼の力を低下させている。
ガーキンは、ウクライナが勝利した場合、自分を一種の仲裁者に仕立て上げようとしている脇役だ。問題は、彼が、乗客283人と乗組員15人の全員が死亡したマレーシア航空17便撃墜事件で有罪判決を受けたことで、欧米への渡航が不可能になったことだ。彼がパルチザンの力によって無力化されることを期待している。