ウクライナ軍が大反攻に転じるこの戦争最大の作戦「Dデイ」が刻々と近づいている。しかしウクライナ軍がいつ反撃に出るのか、どんな作戦をとり、どこまで領土を奪還できるのか予測するのは難しい。昨年5月からウクライナ軍に従軍し、現地の情勢に詳しい元米陸軍兵士マーク・ロペス氏(現ウクライナ軍少佐)にインタビューした。
反攻開始は春から初夏にかけて
――ウクライナ軍による反攻はいつ、どのように起こると予測していますか。
マーク・ロペス氏(以下、ロペス) いかなる反攻作戦を立てる時も天候を考慮する必要がある。春の吹雪、低い気温のため、兵員や車両は雪や雨、ぬかるみに備える必要がある。晴天と地面が固まることを期待している。
陸軍が必要な後方支援と戦術的装備(機甲部隊と火力支援)をすべて揃えたら、春の攻勢か初夏の作戦が有力になる。ドイツ製主力戦車レオパルト1、2の到着が遅れている。機甲部隊の供与と配備が済んだ時が反攻のタイミングになるかもしれない。

――ウクライナ軍は米国など西側諸国から十分な装備を供与されていると思いますか。
ロペス ウクライナ軍は、機械化部隊だけでなく、反攻を維持するための砲兵支援部隊や後方支援列車を含む、優れた戦闘経験のある部隊を構築してきたと思う。
レオパルトや英国の主力戦車チャレンジャー2、機械化歩兵車両を加えることは、米国の旅団戦闘チームをモデルにしているが、規模は小さい。
ロシア軍がハルキウやヘルソンのように崩壊すれば、ウクライナ軍はクリミア半島の境界まで領土を回復できるだろう。