ドル全面高が進む中、ドル高是正としての「プラザ合意2.0」が金融市場で話題になりつつある。ドル独歩高に直面している米国と、通貨安に苦しむ日欧と、ドル高是正で主要国の利害は一致しているが、果たしてプラザ合意2.0は金融市場のブラックスワンなのだろうか。(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)
米国はこれ以上のドル高を許容できるのか
年末年始の金融市場では、「今年、ブラックスワンと言える材料があるとすれば何が考えられるか」を問われることも多い。いわゆる生起確率が極めて低いと思われる「びっくり予想」の類である。
こうした質問を受けた時、筆者は「プラザ合意2.0」の可能性について話すようにしている。
各所で論じられているように、2025年の為替市場に関しては、ドル相場の続伸を予想する声が相変わらず多い。現在入手可能な情報に基づく限り、それは合理的な予想だろう。
確かに、米国の労働生産性(ここでは時間当たり実質GDP)の伸びは先進国でも突出しており、その分、中立金利も上がっていると考えるのが自然だ。
◎【2025年半ば以降は円全面安か】ドル独歩高は今年も変わらず、1ドル160円台定着はもはやメインシナリオ(JBpress)
2025年は「利下げの終わり」はおろか、「利上げの始まり」がどこかのタイミングで織り込まれ始めるのではないかという声すら聞かれるが、あながち否定できない状況である。
ちなみに、筆者は米国の中立金利は4%超の水準にあっても不思議ではないと考えている。
だが、ドル高相場が続くほど、「低金利やドル安を志向する第二次トランプ政権がドル全面高をどれほど許容するのか」という市場の思惑は強まる。