ブラックスワンとしての「プラザ合意2.0」
それでは、プラザ合意2.0の可能性があるのかという話だが、上述したように、インフレが社会問題化している中で通貨高を是正する必要性は大きくない。だが、それは裏を返せば、インフレが沈静化すれば、ドル高が争点になりやすいという意味でもある。
例えば、今後、消費者物価指数(CPI)や個人消費支出(PCE)デフレーターが+2%前後で落ち着いてきたらどうか。
現状では基調的なインフレ関係指標が2%近傍で落ち着き始めているようにも見える。もちろん、底打ちして上がり始めているようにも見えるため、今はその点で過渡期とも言える(図表②)。
【図表②】
かかる状況下、対円だけではなく、対主要通貨、言い換えれば実効相場ベースでドルが歴史的な高値を付けるような展開になれば、金融市場でも注目の論点となるのではないか。ラストベルトの支持を背負うトランプ政権としても看過できないという判断はあり得る。
実際、これまでもG20など国際会議の開催に合わせて「プラザ合意2.0」の可能性は取りざたされてきた。現に、2016年2月の上海G20では、暗黙の第二次プラザ合意である「上海合意」があったという報道は多数見られた 。
その真偽や因果関係は定かではないが、上海G20の後に米FRB(連邦準備理事会)の利上げ路線が棚上げされたのは事実である。