(スポーツライター:酒井 政人)
1区吉居がロケットスタート
前回の箱根駅伝は優勝候補の一角に挙げられながら、直前に体調不良者が続出。まさかの13位に沈んだのが中大だ。
今季は主力数人を温存した箱根予選会を6位通過するも、「3位以内」を目指した全日本大学駅伝は12位と振るわなかった。しかし、11月23日のMARCH対抗戦10000mで好タイムが続出。吉居駿恭(3年)が27分44秒48、本間颯(2年)が27分46秒60、岡田開成(1年)が28分08秒51をマークして、エントリー10000m上位10人の平均タイムは28分15秒62でトップにつけていた。
そして今年の箱根駅伝は1~3区に10000m27分台ランナーを並べて、“近未来の継走”を披露した。
前回7区で区間賞を獲得した吉居が当日変更で1区に登場。大集団はゆったりペースで日比谷通りに入ると、ほどなくして吉居が前に出る。400m過ぎにリードを奪って、1kmを2分46秒で通過。早くも10秒近い差をつけた。
「スローは嫌だったので前に出たら、後ろが離れてくれたので気持ちよく走れました」と吉居。5kmを13分56秒、10kmを28分06秒で通過する。後半はややペースが鈍ったものの、区間歴代4位の1時間00分07秒で走破して、後続に1分32秒という大差をつけた。
ロケットスタートに成功した中大は2区の溜池一太(3年)もトップを独走。1時間06分39秒(区間9位)の好タイムで駆け抜けると、3区の本間颯(2年)が素晴らしかった。5kmを13分47秒で入ると、「本当に気持ち良かったです」と後続をグングンと引き離していく。区間歴代4位の1時間00分16秒と快走して、区間賞を獲得。2位に浮上した創価大に1分34秒、3位の青学大に2分24秒という大量リードを奪ったのだ。
4区の白川陽大(3年)は青学大・太田蒼生(4年)に45秒差まで急接近されて、5区の園木大斗(4年)は区間賞・区間新に輝いた青学大・若林宏樹(4年)に逆転を許した。それでも中大は約98kmもの距離でトップを独走。藤原正和駅伝監督は、「ひょっとしたら往路優勝できるかなと思ったんですけど、若林君が強すぎましたね。我々の持っていたプランの上限より上にいったかな。今日はもう100点満点です」と往路2位という結果を喜んでいた。