
(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)
ドジャースとカブスとの今季公式戦『MLB東京シリーズ』が3月18日、東京ドームで開幕する。2連戦のチケットは瞬く間に完売し、東京都内に開設されたグッズショップでもドジャースやカブスの限定商品などを目当てにしたファンで大盛況となっている。
ドジャースは昨季のナ・リーグMVPの大谷翔平選手、開幕投手を務める山本由伸投手、第2戦に先発する佐々木朗希投手がそろい踏みし、カブスの開幕投手の今永昇太投手と鈴木誠也外野手を加えた5選手の“凱旋試合”の舞台になる。
メジャーが日本で開幕戦を行うのは、マリナーズでプレーしたイチロー氏の引退試合にもなった2019年以来、6年ぶり6回目。日本球界出身の人気選手が所属するチーム同士による絶妙なタイミングでの開催実現には、市場規模で米国に次ぐ日本をいかに取り込むかというメジャー側の緻密なビジネス戦略と、世界的な市場拡大に迫られる危機感も交錯する。
大谷人気で巨大なビジネスチャンス
「率直に言って、収益の大きなイベントだ」
サンケイスポーツによれば、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは、日本開幕シリーズをこう評した。さらに、大きな注目を集める立役者でもある大谷選手の存在については「歴史的に見ても特別な才能。日本だけでなくアジアで大リーグの成長を加速する原動力となっている。国境を越えて観衆を呼び込むことは、スポーツに絶大なビジネスチャンスを生み出す」と絶賛した。
大谷選手は15日に行われた巨人とのエキシビションゲームで、はやくも豪快な本塁打を放ってファンを沸かせた。
ユニホームの背中上部には、MVPなど6選手だけがつけることができる金のMLBロゴが輝く。そんな大谷選手の日本での試合は、2023年春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)以来。テレビや新聞などのメディアで連日大きく取り扱われ、昨季のワールドシリーズ制覇などでさらに高まった“大谷人気”をより一層強く印象づけている。
「個性を持った素晴らしい世界を代表するような選手たちがプレーすると思うので、メジャーリーグの醍醐(だいご)味というか、パワー、スピードを純粋に楽しんでいただけたらとうれしいと思います」
大谷選手は3月14日の公式会見でさわやかな表情でこう話した。試合は地上波に加え、定額制の動画配信サービス「アマゾン・プライム・ビデオ」が独占配信する。
会場となる東京ドームも“メジャー一色”に染まっている。