メジャーのビジネスも盤石ではない

 正面玄関の両サイドの階段は、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督、王貞治氏(ソフトバンク球団会長)のグラフィックアートがドジャースとカブスのロゴに模様替え。「TOKYO SERIES」のモニュメントや大谷選手らの巨大バナーなどもお目見えした。

東京ドームに多くの野球ファンが詰め掛ける(写真:Imagn/ロイター/アフロ)

 人気のチケットは昨年12月の先行販売から順次売り出され、2月16日正午からの先着順の一般販売は即日完売となった。共同通信によれば、主催者が転売サイトに高額で出品された事案を調査し、開幕戦の4席分のチケットなどを無効にしたと発表している。

 メジャーは現在、スポーツビジネスとして大きな成功を収めている。球団価値は高騰し、莫大な放映権料収入などによって、リーグの総収入は約1兆5000億円規模に達する。日本球界は2000億円程度とみられ、選手の年俸面などにも大きな差が生じている。

 しかし、足元は決して盤石ではない。2024年は観客動員数が2年連続で増加して約7100万人に伸ばしたものの、18~22年(新型コロナウイルス禍の期間も含む)は節目の7000万人を割り込んでいた。テレビや映像配信による試合中継が人気を支えているが、大谷選手のホームランが飛び込んだスタンドに空席が目立つシーンを目にする機会も多いはずだ。

 24年の観客動員が全30球団で最下位のアスレチックスは100万人を下回り、本拠地のオークランドからの移転も決まった。日本のプロ野球では24年、12球団の観客動員数はいずれも150万人(最高の阪神は300万人超)を上回っている。

 米国内ではメジャー(MLB)に加え、アメリカンフットボールのNFL、バスケットボールのNBA、アイスホッケーのNHLが4大プロスポーツと呼ばれる。経営も人気も最も安定しているのがNFLだ。

 MLBはNBAとともにNFLに次ぐ市場規模だが、スポーツニッポンは24年6月、米メディアの記者が25年には収益面で3番手に落ちると指摘した記事を紹介している。さらに背後からは、4大プロスポーツ以外にも、26年に米国を含む北中米共催のサッカーワールドカップ(W杯)を控え、サッカーのMLS(メジャーリーグ・サッカー)が人気を高めている。