4月は新入学のシーズン(写真:7maru/Shutterstock.com)

4月は新入学の季節。入学祝いを渡した、あるいはこれから渡す予定の人もいるだろう。入学祝いと言えば現金やランドセルが定番だったが、キャッシュレス化が進み、子ども用の商品やサービスが増える中、入学祝いの選択肢が多様化している。専門家によると、入学祝い選びで失敗しやすいのが、「親戚のおじさんやおばさん」だという。なぜか?

(森田 聡子:フリーライター・編集者)

QRコード決済サービスのメッセージ付き入学祝いは「非常識」?

 都内在住の40代女性は子供がおらず、姪(弟の娘)をかわいがっていた。その姪がこの4月から小学校に通うことになり、自宅に遊びにきた際に入学祝いとして用意しておいた1万円のプリペイドカードを渡した。これがトラブルに発展したという。

「姪は『私がおばちゃんからもらったお祝いだから、私が使う』と言ってきかなかったらしい。義妹はまだ姪に電子マネーを持たせておらず、『プリペイドカードとはいえ、6歳の子にいきなり1万円もの大金を預けるわけにはいかない』と強引に没収。姪はショックが大きかったようで、母娘の冷戦状態が1週間近く続いたとか。弟から『お祝いをくれるのはありがたいけど、金額や渡し方を考えてよ』と苦情を言われた」

 別の30代女性は甥(姉の息子)が第一志望の高校に合格したと聞き、QRコード決済サービスの送金機能を使ってメッセージ付きの入学祝いを5000円送った。甥からはすぐにお礼のメールが届いたが、後日、姉から「ダンナ(義兄)があんたのことを常識がないと言っている」と聞かされて驚いたという。

「義兄は旧家の出身でしきたりにうるさいタイプ。甥の入学祝いは本来なら(送金サービスではなく)姉夫婦に届けるのが当然と考えていたようです。5000円という金額も不満だったかもしれません」

 プリペイドカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済ツールは、入学祝い用の仕様やメッセージサービスなどが充実してきており、一見便利でセンスのいい贈り物のように思える。しかし、子どもの年齢によってはキャッシュレス決済に慣れておらず、最初の女性のケースのような行き違いが生じる可能性もある。

 実際、学習雑誌『小学一年生』が2024年に低学年の子どもを持つ保護者に行ったアンケートによると、「入学祝いでもらってうれしかったもの」は、2位のランドセルを大きく引き離して「現金」が1位だった。