
(つげ のり子:放送作家、皇室ライター)
多感な時期に世の荒波を受けてきた「精神的な強さ」
2024年9月に18歳の成年となった秋篠宮家の長男、悠仁さま。これまでのご成長の過程をつぶさに振り返ると、今上天皇や秋篠宮さまとの違いに気づく。
陛下は、幼い頃からスポーツや音楽に親しみ、中学生の時には海外も訪れ、いわば将来天皇となる宿命を背負って、人格形成と教養を身につける帝王学を学んでこられた。
秋篠宮さまも、次男坊殿下というお立場もあって、陛下とまったく同じとは言えないまでも、将来、兄を補佐するために昭和天皇や上皇陛下から多くの薫陶を受けられてきた。
しかし、悠仁さまは、生まれながらに天皇となる身でありながら、さまざまなスポーツで体力や協調性を養う機会はそれほど多くなく、楽器の演奏を嗜むということも寡聞にして知らない。
やってきたのはトンボの採集と研究、赤坂御用地内での野菜づくりと、幼い興味の範疇を超えない点がやや心配になってくる。


しかし、それがダメなのかというと、結論を出すには性急すぎる。少し頼りない部分はあるものの、悠仁さまは悠仁さまなりの、将来を見据えた覚悟の上で、国民と共に歩もうとされる、お考えがあるはずだ。
例えば学習院に通わなかったことで、ごく普通の民間の子どもたちの価値観に触れ、庶民感覚を十分に理解されてきたのではないだろうか。さらに眞子さんの結婚問題で、大きく揺れた秋篠宮家の家族関係からは、血縁であるからこそのご両親の深い苦悩に接し、その後の理不尽な世間の誹謗中傷にも心を痛めてきたはずだ。
その体験は、悠仁さまに人の心とは何かを考えるきっかけとなって、相手を慮る優しさや思いやりを育んだかもしれない。そして、多感な時期にそうした世の荒波を自ら受けてきたことで、精神的な強さも身につけられていることも大いに考えられる。
