皇室ではなぜ代々「科学」を重んじてきたのか
4月に進学される筑波大学では、生命環境学群(生物学類)を専攻される。
記者会見でも「生物について学べる環境が自身に適していると考えたため志望」したと話され、やはりトンボをはじめ昆虫などの生き物の研究を深めていきたいようだ。

上皇陛下も魚類研究をライフワークとし、長年にわたりハゼ類の分類を研究。悠仁さまの父・秋篠宮さまも、公務の合間にナマズや家禽類の研究をされている。さかのぼれば、昭和天皇も生物学の研究に没頭されていた。


それほど皇室では、代々、科学を重んじてきたのかと言えば、実はそうではなく、日本国憲法に、「天皇は、この憲法が定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」との一文が意味するところに理由がある。
つまり天皇は政治には一切関与できず、その可能性すら疑わせないように、植物や生物、あるいは天皇陛下のように水運の歴史など、政治に影響を及ぼさない研究を行うのが暗黙の了解となっていると言われている。
幼いころから昆虫好きとして知られ、トンボの論文まで専門の学者たちと共同で執筆されるほど、生物研究に並々ならぬ興味を抱いていた悠仁さまに限っては、学問分野の機微を慮って選択したわけではないだろう。だが、進学にあたってさまざまに考えられた中で、皇位を継ぐお立場の難しさを知ったのではないだろうか。
