トランプ氏はグリーンランド買収に本気のようだ(Jean-Christophe ANDREによるPixabayからの画像)

グリーンランド買収にどこまで本気なのか

 ドナルド・トランプ次期米大統領がデンマーク領グリーンランド獲得に異常なほどの意欲を見せている。

 デンマークはもとより、北大西洋条約機構(NATO)のメンバーのドイツなどは猛反発している。

 一部に「トランプの狂気」などとあざ笑い、「まさか本気ではあるまい」という向きもある。

「狂気」を押しとどめるのは日欧など同盟国だ、という声もある。

 米国内にも「起こり得ないことを話題にするのは時間の無駄」(アントニー・ブリンケン国務長官)という声もあるが、トランプ氏は一切耳を貸そうとしない。

 今やトランプ氏の超側近となった億万長者、イーロン・マスク氏も英独の極右勢力を支持する一方で、「アメリカ第一主義」の立場からグリーンランド買収を後押ししている。

 一方、トランプ第1期政権の大統領国家安全保障担当補佐官だったジョン・ボルトン氏は、「成功しそうもない取引をまた持ち出すのはクレージーだ」と言い切っている。

(もっとも、ボルトン氏は2016年にトランプ大統領がグリーンランド買収を提案した当時は補佐官だったが、解任されて以降はトランプ批判を続けており、買収反対を唱えても特にインパクトはない)

(ブリンケン氏もボルトン氏もグローバリスト。トランプ政権下では彼らの声はおそらくかき消されるだろう)

 トランプ氏が1期政権の時に言っていたグリーンランド買収を再び主張している理由について、米メディア、主流シンクタンクは次のように解釈している。

一、グリーンランドが安全保障や経済面での要衝となりつつある。

二、周辺海域は温暖化で氷が解け、船舶の運航が急増する。

三、レアアース(希土類)など豊富な地下資源も近年明らかになった。

四、北極圏への進出を強める中国とロシアを牽制する狙いがある