世界の将来はグローバリストに委ねるな!

 ところが、米国内の識者たちは別の角度からトランプ氏のグリーンランド買収を分析している。

Eurasia Group | Rule of Don: Eurasia Group's #2 Top Risk of 2025

 国連で活躍し、その後米論壇でも健筆をふるっているインド人政治家、イシャーン・サローア氏は、こう指摘している。

「トランプ氏は2019年の国連総会で『世界の将来はグローバリストたちには委ねられないだろう』と演説した」

「その心は、国家の国益とは国籍、出生地などを超えたリベラルなテクノクラートやグローバルな機関・組織に対する誓約、つまりグローバリズムによって妨害されてきたと断言、米国はあくまでもアメリカ第一主義を貫き通すべきだというものだ

「トランプ氏は終始一貫してグローバリズムに反対だった。19世紀中期の強者が弱者から搾取する、帝国主義の復活を夢見てきたのだ」

「そしてトランプ氏は大統領就任の“前夜“、同氏の言ってきた国益中心のポピュリズムは、真新しい装いをまとった21世紀の帝国主義にとって変わったのである」

Trump hates ‘globalism.’ But he seems to like imperialism.

 保守系有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、トランプ氏のグリーンランド買収計画に一定の理解を示して、社説にこう書いた。

「トランプ氏のカナダ併合は釣りで言えば流し釣り(編集部注:何もしないこと)に過ぎないが、グリーンランド買収は米国が長いこと夢見てきた実質性のある話だ」

「米政府の役人たちも、アラスカをロシアから買収した際にグリーンランドを買収しようとしたことがある」

「地下に眠る天然資源、北極海に接するグリーンランドの戦略的位置などから当時よりもより重要性を帯びている」

The Steps Trump Would Need to Take to Actually Buy Greenland

 極右のインフルエンサー、チャーリー・カーク氏は、グリーランド買収について、西部開拓史のキーワードだった「マニフェスト・デスティニー」*1の復活だとまで言い切っている。

*1=アメリカ大陸の中西部、西部まで開拓して領土を拡張することこそ、神から授けられた使命だ、とする国是。

「トランプ氏のグリーンランド買収は、まさにマニフェスト・デスティニーの復活であり、米国の力強さの復活を意味するものだ」

 トランプ氏は、「マニフェスト・デスティニー」を達成するためならデ ンマークに対する脅しも辞さない。

 関税引き上げも軍事力行使も厭わないというところまでエスカレートしている。