ついにメディア成敗に乗り出した(写真は5月1日ミシガン州で、写真:AP/アフロ)

ABCを提訴し、示談金23億円獲得

 ドナルド・トランプ米次期大統領は、ABCの看板キャスターの「レイプ発言」を名誉棄損で訴え、示談で1500万ドル(約23億円)の賠償金を得た。

 その直後には、アイオワ州の有力紙の世論調査報道を「選挙妨害」で告訴した。

 さらに、CBSの偏ったカマラ・ハリス副大統領との単独インタビューについても「選挙妨害」だとして告訴する準備だという。

 告訴案件は列をなして待ち構えている。

 米国は「訴訟国家」と言われて久しいが、次期大統領に選ばれた政治家がメディアを相手どって訴訟を連発するのは前代未聞だ。

 これにはやばい裏がある。トランプ周辺に近いメディア専門家は、その裏についてこう述べている。

「このメディア征伐は賠償金目当てではなく、『反トランプのジャーナリスト狩り』が真の狙いだ」

「トランプ氏にしてみれば、同氏や保守派の粗探しに明け暮れ、自分たちに不利なニュースを流してきたメディア、それを称賛してピューリッツァー賞を授与してきた同賞選考委員会自体も征伐の対象にしている」

「最終的には主流メディアの代表格、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどのトランプ批判報道を行ってきた記者、編集者やコラムニストの撲滅という、かつての『赤狩り』の再来だ」

「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」によると、トランプ氏はそのために1917年に制定された「スパイ法」、正確には「諜報活動取締法」(Espionage Act)を適用することも視野にいれているという。

 しかも、それは2016年の大統領選にまで遡って行われる、とトランプ周辺は嘯いている。

 有罪が確定すれば、該当者は罰金1万ドル、最高刑懲役20年に科せられる。

cjr.org/donald-trump-wins-press-loses-devastating-media-assault.

 今後トランプ氏がどう出るのか、身に覚えのあるジャーナリストたちは、戦々恐々だ。

「Freedom of the Press Foundation」(報道の自由財団)」のセス・スターン理事長は深刻な表情でこう語る。

「メディアに対する訴訟によって、ジャーナリストはトランプ2期政権が自分たちを追及する口実を探しているのではないかとびくびくしている」

bbc.com/news/articles/cdjg2n3xv7zo