パリでフランスのマクロン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談したトランプ次期大統領(12月7日、提供:Ukraine Presidency/ZUMA Press/アフロ)

中国共産党は米国と民主主義最大の敵

 ドナルド・トランプ第2期政権発足まであと1か月余に迫ったが、実際の内政外交はすでに動き出している。

 トランプ氏は急遽パリに飛び、フランスのエマニュエル・マクロン大統領を交えてウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナ戦争の即時停戦を呼びかけた。

 現職ジョー・バイデン大統領がウクライナへの追加軍事支援を表明した直後、次期大統領は先を見て動いているのだ。

 国務長官はじめ主要閣僚・ホワイトハウス人事を矢継ぎ早に指名(上院の承認はあるが)、次いで主要大使人事指名を次々と決めている。

 米国の大使は外務省が決めるのではなく、大統領の専権事項だ。閣僚人事とともに大統領選での勝利に対する論功行賞の色合いが強い。

 どのくらいカネ(選挙資金)を出したか、どのくらい票を集めたかで、大使のポストがバラまかれる。

 それに加えてトランプ氏の場合は、閣僚同様、同氏に対する忠誠度、トランピズムへの宣誓度が重要になっている。

 外交経験とか、キャリアの外交官といった他国では重視される大使の資格はトランプ政権ではほとんど無視されている。

(というよりもトランプ氏は大の国務省エリート官僚嫌いだ)

 そのトランプ氏が12月9日、中国駐在大使に元上院議員のデイビッド・パデュー氏(75)を指名した。

 同氏は2015年から21年までジョージア州選出の上院議員を務めたが、もともとは米ディスカウントチェーン「ダラー・ジェネラル」やスポーツシューズ「リーボック」の経営を手掛けた投資家でありビジネスマン。

 2020年にはジョージア州知事選に立候補したものの敗れている。

 上院議員時代には軍事委員会に属し、中国の軍事経済進出に警鐘を鳴らしていた。

 その反面、一時期、対中ビジネスへの配慮もあってか、中国の香港抑圧政策批判などでは及び腰なところもあった。

つまり一時、共和党保守派の二枚舌的スタンスを堅持していた)