地方メディアにも容赦なし

 トランプ氏の訴訟を時系列的にまとめてみる。

ABCに対する訴え

 トランプ氏は12月18日、ニューヨーク州地裁にABCの看板キャスター、ジョージ・ステファノプロス氏*1を名誉棄損で訴えた。

*1=ステファノプロス氏は、ビル・クリントン大統領の広報担当補佐官、政策戦略担当上級顧問などを歴任した民主党系メディア専門家。ABCのワシントン支局シニア・スタッフでもある。

 ステファノプロス氏が、2024年3月、ナンシー・メイス下院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)とのインタビューの中で、「2023年の民事訴訟裁判はトランプ氏が作家のE・ジーン・キャロル氏をレイプした責任を認定している」と発言したことに対する名誉棄損だ。

 ニューヨーク州法では、「レイプ」とは「男性がペニスを女性の性器に挿入する行為」と定義づけられている。

 トランプ氏はペニスではなく指を挿入した行為だ、と主張した。

 ABCは直ちに謝罪する一方、トランプ氏の提示した賠償金1500万ドルと弁護士費用の支払いを申し出た。

(トランプ氏はこのカネは大統領退任後に就く「トランプ大統領図書館」の建設費に充てると発表している)

 ニューヨーク・タイムズのブルックス・バーンズ記者は、ABCが速やかに示談に応じた背景には、ABCの親会社であるディズニーの存在があると分析している。

 次期大統領とことを構え、「ディズニー・ブランド」に傷がつくことを危惧、示談に持ち込んだというのだ。