「103万円の壁」引き上げで合意した国民民主党・自民党・公明党(左から)の各政調会長(写真:共同通信社)

 連日のように報道される「年収の壁」。一口に言っても「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」など色々とあって、それぞれどのように違うのか、しっかりと理解できている人は少ないかもしれません。

 その要因は、壁ごとに条件が色々あって、複雑だからです。

 壁を超えて働くと、手取りは減ってしまいます。果たして、壁を超えて働くメリットはあるのでしょうか。年収の壁を正しく理解し、自分の働き方を考える一助になるよう、丁寧に解説していきます。

(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)

103・106・130万円…「年収の壁」 の全体像

「年収の壁」とは、年収が一定額を超えると税金や社会保険料の負担が増え、手取りが減るボーダーラインのことです。

 主な年収の壁には、100万円の壁、103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁、150万円の壁、201.6万円の壁があります。また、60歳以上の場合は180万円の壁もあります。

<ひと目でわかる!「年収の壁」>

出所:『パート・アルバイトで働く人のための「年収の壁」で損しない本』(監修:頼藤太希・高山一恵、宝島社)より
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 年収の壁を超えないように働けば、税金や社会保険料の負担は増えないので、手取りが減ることはありません。つまり、働いた分の収入をほぼそのまま受け取れることになります。

 年収の壁を超えると税金や社会保険料がかかります。特に社会保険料の負担が増えると、壁を超えないほうが手取り年収は高くなる場合もあります。