【103万円の壁】所得税の支払いが生じるほか、勤め先の「家族手当」がなくなる場合も

 103万円の壁は、所得税の壁です。所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得に応じて支払う税金です。

 被扶養者が働いて得た給与収入からは給与所得控除として55万円を差し引くことができます。所得税の基礎控除は48万円です。

 つまり、年収が103万円以下であれば、103万円-55万円-48万円=0円となるため、所得税はかかりません。103万円を超えると、所得税がかかるようになります。

 所得税の税率は所得の金額に応じて5%〜45%の7段階に分かれています。

 課税所得が195万円未満であれば税率は5%ですので、年収103万円の壁を超えるか超えないかという方の所得税率は5%です。所得税は103万円を超えた部分に対して課税されます。そのため、103万円の壁を少々超えた程度では手取りへの影響は軽微です。

 103万円の壁は扶養者が受けられる「配偶者控除」の有無を分ける壁でもあります。

 被扶養者の年収が103万円以下の場合、扶養者は配偶者控除として自身の所得から38万円を差し引くことができます。もっとも、被扶養者の年収が103万円を超えても、150万円以下までであれば、扶養者は「配偶者特別控除」が適用でき、所得から38万円を差し引くことができます。よって、配偶者控除の有無は影響がないと言えます。

 103万円の壁を超える問題があるとすれば、勤め先の会社が「配偶者手当」を用意している場合、それがもらえなくなることでしょう。「家族手当」「扶養手当」とも言われます。

 配偶者手当を支給する基準として「103万円の壁」が用いられているケースがあります。

 例えば毎月1万円の配偶者手当がなくなったら、年間12万円のマイナスになります。

 被扶養者の年収が103万円を超えると配偶者手当がもらえなくなるとなれば、働き控えをする要因にはなるでしょう。

 とはいえ、厚生労働省の資料「「配偶者手当」の在り方の検討に向けて」によれば、「103万円」の収入制限を設定している事業所は、平成27年度調査の40.4%から令和5年度調査では20.6%とおよそ半減しているようです。

出所:厚生労働省の資料「「配偶者手当」の在り方の検討に向けて」より抜粋
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