9月16日には一時1ドル=139円台を付けた(写真:共同通信社)

投資信託を選ぶ際に「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」という言葉を見たことがある方は多いでしょう。外国の株式、債券、不動産などに投資する投資信託の商品名にしばしばついています。同じ商品名の投資信託であれば、為替ヘッジありでも為替ヘッジなしでも、投資している資産自体は同じです。しかし、為替ヘッジありと為替ヘッジなしでは、値動きが異なります。では、投資信託の「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」、どちらを選ぶのが良いのでしょうか。

(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)

為替レートの変動による影響を避ける「為替ヘッジ」

 為替ヘッジとは、「為替変動による値動きの影響を避けること」です。

「為替ヘッジあり」の商品は、先物取引や信用取引といった特殊な手法を使い、為替変動による値動きの影響を抑えるように運用されます。

 反対に「為替ヘッジなし」の場合は、そうした影響を抑えずに運用を行います。

図:(株)Money&You作成
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 外国資産に投資する投資信託の値動きは、「資産自体」と「為替」の値動きによって決まります。

「資産自体」とは、投資信託が投資の対象にする資産のことです。

 どの資産に投資するかは、投資信託によって異なります。つまり、投資信託自体の値動きは、投資先によって変わります。

「為替」は円安・円高といった為替レートの変動のことです。為替レートとは、異なる2つの通貨の交換比率のこと。投資信託が投資家から集めたお金で外国の資産を買うときには、その資産のある国の通貨を投資実行時点の為替レートで両替します。

 反対に、外国の資産を売ると外国の通貨で戻ってきます。そのお金を投資家に返すときには、外国の通貨を円に両替して支払います。

 買うときの両替と売るときの両替で、為替レートがまったく同じであれば、為替変動の影響はありません。しかし、為替レートは平日24時間絶えず上下していますので、まったく同じになる可能性は低いでしょう。

 為替ヘッジありの場合、為替レートによる値動きの影響は低くなりますが、ヘッジコストを負担しなくてはなりません。ヘッジコストは外枠で別途支払うのではなく、運用成績に反映される形で投資家は負担します。つまり、為替ヘッジコストの分だけ運用パフォーマンスを下げることになります。