上げ幅が一時1000円を超えた日経平均株価を示すモニター=7日午前、東京都港区の外為どっとコム (写真:共同通信社)
  • 日本株が乱高下している。8月5日に過去最大の下げ幅を記録した翌日には、過去最大の上昇となった。
  • 年初来の上昇分が吹き飛んだ格好だが、なかのアセットマネジメントの中野晴啓社長は、「円安バブルが崩壊し、株価は適正水準になった」と話す。
  • 大きな調整を予見してきた中野氏は、NISA初心者にとって今回の「大暴落」は長期視点で資産運用に取り組むうえでいい教訓になったと指摘する。(JBpress)

(中野晴啓:なかのアセットマネジメント社長)

 ここ数日の日経平均株価の乱高下で、今年スタートした新NISAで資産運用を始めた方の中には「夜も眠れない」ほど動揺したという人もいるかもしれません。しかし、長期視点に立つならば、今回の「大暴落」はいい教訓として今後の資産運用に必ずや生きてくるはずです。

 日経平均の急落を受けて、さわかみホールディングスの澤上篤人さんとの対談記事がJBpressで再掲載され、改めて多くの方が読んでくださいました。

【関連記事】
【日経平均急落】いよいよ「大暴落」始まる?新NISAの投資初心者は大火傷か、過剰流動性はもう限界超えた
【日経平均急落】日本株「大暴落」の先にある本物の資産運用立国、インデックス型「オルカン」「S&P」でいいのか?

 実は、澤上さんとは、「そろそろ(大暴落が)来るかもな」という話をまさにしていたところでした。日銀が追加利上げを決める前です。4万ドルを超えていたアメリカのダウ工業株30種平均のボラティリティーが大きくなって、危うさを感じていました。

 米エヌビディアを筆頭に生成AI株は実態を伴わない明らかにバブルの状況で、ハイテク株に調整が入りました。そうした状況で、日銀が追加利上げを決めました。

 マーケット関係者は完全に油断していたと思います。植田和男総裁は「(利上げを決断するほど)根性がない」とみられていました。利上げをしたら景気にブレーキがかかると、多くのマーケット関係者は利上げに反対していましたから。

 しかし、私は十分ありうると考えていました。アメリカが利下げをすると、逆の動きはしにくくなります。自民党総裁選を控えている国内の政治状況もあります。なにより、日銀関係者は1ドル160円を超えた円安基調に強い問題意識を持っていました。