- 世界の金融マーケットが乱気流に襲われている。日経平均株価は8月5日に過去最大の下げ幅を記録。翌6日は急反発し3217円(10.2%)高となり今度は過去最大の上げ幅となった。
- 日本株の暴落はこれで止まったのか。米国の景気不安を背景にした不動産ショックが追い打ちをかけるかもしれない。
- すでに商業不動産では「投げ売り」が見られ、マンション向け融資も危険な状況にある。リーマンショック当時の状況が頭をよぎる。
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
米国経済に対する不安が急速に高まっている。
8月2日に発表された雇用統計で、7月の失業者が前年比21%増の716万人となったからだ。失業者の2割増は経済ショック時しか起きていないと言われている*1。
*1:米景気不安が急拡大 7月失業者、2割増 大幅利下げ論が台頭(8月4日付、日本経済新聞)
市場関係者は「好調な雇用市場が米国経済を支えている」と楽観視していたが、この数字を見てセンチメントが一気に冷え込んでしまった。
「米連邦準備理事会(FRB)が次回の会合を待たずに緊急利下げを行う」との見方が強まる*2など、市場では「米国経済の景気後退入り」を織り込むムードになりつつある。
*2:FRB、1週間以内の23bp緊急利下げの確率60%-短期金融市場(8月5日付、ブルームバーグ)
「弱気の虫」が頭をもたげれば、いわゆるリスク資産の売却が進むのが世の常だ。
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その影響が最初に現れたのは株式市場だった。
米国発世界同時株安が起きる中、日本市場の下げ幅は1987年10月のブラックマンデーを大きく上回ってしまった。
コモディティー(商品)の価格も急落している。
中東情勢が緊迫化しているのにもかかわらず、米WTI原油先物価格は一時、半年ぶりの安値を付けた。銅や金の価格もさえない展開だ。
このような状況下で筆者が注目しているのは米国の不動産市場だ。