7月31日、日銀は追加利上げを決定し円高が加速した。写真は同日午前(写真:共同通信社)

 2024年の株式相場は新NISAが始まって以降、好調を維持してきました。ところが7月になり、日本株や米国株は大きな下落を迎えました。7月31日には日銀が追加利上げを決定し、為替水準も7月初めの1ドル161円から一時149円台へと急激に円高が進んでいます。

 新NISAで買い付けされている投資信託上位は、世界株と米国株が占めています。よって、多くの人が、ここ最近の株価下落・円高で資産の大幅な減少を経験したことでしょう。

 こうした相場変動による資産の減少を抑えるために、国内外の株や債券などに分散投資をしている人も読者にはいることでしょう。

 しかし、分散投資をしていても、株式相場が好調であれば、ポートフォリオの中で株の比率がどんどん高くなっていきます。この配分比率を元に戻さずそのままにしていると、資産の減少が大きくなってしまう可能性があります。

 その場合、資産の比率の偏りを元に戻す「リバランス」を行うのが効果的ですが、このリバランスを定期的にやっている、という人は意外と少ないかもしれません。

「リバランスは定期的に行うことが大切」とよくいわれますが、果たして本当なのでしょうか。

(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)

>>グラフや図で「リバランス」の効果を学ぶ

分散投資の王道は株と債券

 一般的に、株と債券は逆の値動きをする関係にあります。景気がいいときには企業の業績が上がるため、株価が上昇します。株価が上がっていくのであれば、債券で保有するよりも株式で運用したほうが良いと考える人が増えるので、債券を売って、株を買うという動きが出てきます。それにより、債券価格は下がり、株価はさらに上がるのです。

 反対に、景気が悪くなると企業の業績が下がり、株価も下落します。株価が下がれば、売却して、株よりもリスクを低くしながらリターンが得られる債券を購入する動きが増えます。これにより、株価はさらに下がり、債券価格は上がっていくのです。

 株と債券のように、異なる値動きをする資産を組み合わせて保有すれば、資産全体の価格変動リスクを抑えて運用できるというわけです。

 実際、国内外の株と債券の4資産に均等に投資をしている、世界最大の機関投資家がいます。それは我が国の年金積立金を運用する、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。