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2024年から始まる「新NISA」は大幅にアップグレードされます。これを機に資産運用を始めようと新たに口座を開設した方も多いでしょう。しかし、数ある投資信託の中から何を選ぶか、判断基準がないとなかなか難しいと思います。そこで今回は、後悔しないための5つのポイントを解説します。
(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)
最も大きな改正は非課税期間が無期限になったことでしょう。いつでも新規の投資ができ、一生涯投資にかかる税金が非課税です。
年間の投資上限額は、現行の「つみたてNISA」から「つみたて投資枠」に名称を変えて年間40万円→120万円に拡大、「一般NISA」から「成長投資枠」に名前を変えて、年間120万円→240万円に拡大されます。両投資枠は併用が可能で合計年間360万円の投資ができます。ただし、1人あたり生涯投資枠が設定され、1800万円までとなります。
投資商品ですが、つみたて投資枠はつみたてNISAと同じく、国が定めた厳しい条件をクリアした投資信託・ETF(上場投資信託)であり、本稿執筆時点で約270本です。
成長投資枠は、基本的に一般NISAと同じですが、「株式の整理銘柄・監理銘柄」「信託期間20年未満の投資信託」「高レバレッジ型の投資信託」「毎月分配型の投資信託」が除外されます。投資信託協会のリストによれば、本稿執筆時点で投資信託は約1800本程度となっています。
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中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し、現職へ。女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』やYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、資産運用・年金・税金・家計管理などに関する書籍の執筆・監修、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。最近の著作に『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』『はじめての新NISA&iDeCo』『定年後ずっと困らないお金の話』
整理銘柄は上場廃止が決定した株式の銘柄で、監理銘柄は上場廃止の可能性がある(上場廃止基準に該当する恐れがある)銘柄のことです。高レバレッジ型は、先物やオプションといった金融の仕組みを利用して、指標の2倍・3倍の値動きを目指して運用される投資信託です。
いずれも長期の資産形成に向かない商品なので除外されました。
つみたて投資枠は国が条件を決めているから安心、成長投資枠も長期の資産形成に向かない商品は除外されているから安心と思っていませんか?
実は気をつけないと損をしてしまう商品がたくさんありますので、5つのポイントに分けてご紹介します。
では、順を追って見ていきましょう。