日本株はバブル後最高値圏で推移している(写真:つのだよしお/アフロ)

前回の記事「新NISAで買ってはいけない投資信託、手数料だけで30年後に400万円超の差も」には大きな反響がありました。今回は、長期・積立・分散に適した投資信託だけではなく、株式やETFなど幅広い金融商品にも投資ができる「成長投資枠」の使い方にフォーカスします。空前の株高で「つみたて投資枠」だけでは物足りないと感じている方もいるかもしれません。リスクを慎重に判断しながら、成長投資枠をつみたて投資枠と賢く使い分ける4つの戦略を解説します。

(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)

「新NISA」は想定を超える大盛り上がりを見せています。連日テレビなどのメディアで取り上げられていることはもちろん、書店コーナーも大盛況。私事ですが、拙著「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)は1月に10万部の増刷をしました(発売してから1カ月ちょっとで16万部突破です)。短期間にこれほど大増刷するのは正直初めてです。世の中に「新NISA旋風」が巻き起こっています。

 日経平均株価も上昇を続けて、2023年末の終値3万3464円から、2024年1月23日時点の終値3万6517円と短期間で3053円も上昇する状況となっています。こういった株価上昇のニュースも、多くの人を新NISAに惹きつける要因となっているのでしょう。

 そんな新NISAの概要をサクッと確認しましょう。

・一生涯、運用益にかかる税金をゼロにしながら投資・運用ができる

・年間の非課税投資金額はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円。両投資枠は併用可能なため、年間360万円の投資ができる

・ただし、1人あたり生涯投資枠1800万円が設定。成長投資枠のみ利用する場合は1200万円まで。つまり、生涯投資枠1800万円を使い切りたいなら最低でも600万円はつみたて投資枠で投資をする必要がある

・売却枠の再利用が可能で、売却した翌年に非課税枠が復活。復活する金額は投資金額ベース。例えば、投資金額50万円分の資産が、値上がりして100万円(評価益50万円)になった時に売却した場合、手元に得られるお金は100万円だが、売却して復活する生涯投資枠も投資金額の50万円分となる

 さて、今回は新NISAの「成長投資枠」の活用戦略を一緒に考えていきます。

頼藤 太希(よりふじ・たいき) (株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し、現職へ。女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』やYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、資産運用・年金・税金・家計管理などに関する書籍の執筆・監修、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。最近の著作に『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』『はじめての新NISA&iDeCo』『定年後ずっと困らないお金の話』など。著書累計140万部超。

新NISA「成長投資枠」の4つの活用戦略

 新NISA活用戦略の基本は、「つみたて投資枠」にて、手数料が安くてシンプルな商品で、20年・30年と時間をかけて堅実に積み上げていくことです。いわゆる長期・積立・分散投資の実践です。生涯投資枠1800万円は「つみたて投資枠」だけで使い切ることができます。

 上記を基本としつつ、新NISA「成長投資枠」の活用戦略を4つ考えてみました。

①「つみたて投資枠」と同じ商品に投資
②「つみたて投資枠」にはない、インデックスファンドやETFに投資
③値上がり益を狙った株式投資
④「不労所得」を得ることを目的とした投資

 改めて、生涯投資枠1800万円使い切るためには、「つみたて投資枠」で600万円は投資しなければならないことはお忘れなく。

 では1つずつみていきましょう。