株高が止まらない。1月5日から15日までの日経平均株価は6営業日続伸となり、7.8%もの上昇となった。1月23日には一時400円以上値上がりし、3万6984円とバブル後最高値を2日連続で更新した。一方、実質賃金(2023年11月)はなんと20カ月連続のマイナス。物価高に賃金アップが追い付かない。名目GDP(ドル換算)はドイツに抜かれ世界4位に後退する見通しとなり、1人当たりGDPはG7最下位となっている。この歪んだ日本経済の先行きはどうなっていくのか──。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。(JBpress編集部)
株高の背景にカネ余りと外国人買い、そして新NISA
2023年の年明け(1月4日)、日経平均株価は2万5834円でスタートした。その1年後、2024年1月4日の始値は3万3193円だった。1年間で7359円、28.5%も上昇したのだ。
勢いは止まらない。1月23日には一時3万7000円目前まで上昇し、バブル崩壊後の最高値を2日連続で更新。市場関係者の間からは「年内に3万9000円台」「いや4万円突破」という景気のいい声が上がっている。
物価高に苦しめられている庶民の生活実感からすると、あまりにも現実とかけ離れた現象だが、なぜこんな異常とも思える株高が続いているのか。その背景にはいくつかのキーワードがある。
【カネ余り】
アベノミクス以降の長期にわたる超低金利政策で、空前のカネ余りとなり実体経済ではなく不動産や株といった資産市場への資金流入が続いた。その結果、株価上昇だけでなく不動産価格の高騰を招いた。
東京23区の新築マンション平均価格は1億2811万円(2023年11月/不動産経済研究所の発表データ)となり、前年同月比50.2%の上昇となっている。会社員の平均年収458万円(2022年/民間給与実態統計調査)の28年分である。恐ろしい水準だ。
【外国人買い】
2023年の日本株買いで注目されたのが海外投資家の買い行動だ。現物と先物を合わせると年間6兆2900億円もの買い越しとなった。
東証による企業への経営改革要請への期待感や米著名投資家による日本株推奨に加え、2023年1月の月間平均が1ドル=130円台だったのが、12月には143円台と13円もの円安となったことで、日本株の割安感が広がったことも大きい。さらに低迷する上海や香港市場でのリスクを避けて日本株買いという動きもある。
【新NISA】
年間投資可能額の増額、非課税保有期間の無制限化、投資可能期間の恒久化といったメリットが喧伝されて今年からスタートした新たな少額投資非課税制度(NISA)が早くも株高に貢献しているとの見方もある。
貯蓄から投資への流れを推し進めるために政府が旧NISAを大幅に見直し、さまざまな条件を緩和した。昨年末、新NISAの駆け込み的な新規の口座開設が急増した。この人気に便乗した買い行動が広がっているとの見方もある。政府の思惑通りに、個人金融資産が貯蓄から投資に流入する動きが加速し始めている可能性は高い。