2024年11月20日より販売されている年末ジャンボ宝くじ2024年11月20日より販売されている年末ジャンボ宝くじ(写真:共同通信社)

篠原 拓也:ニッセイ基礎研究所主席研究員)

 11月20日から恒例の年末ジャンボ宝くじの発売が始まっている。前回の記事(「今年の『年末ジャンボ宝くじ』一攫千金の狙い目、 3つの高額当せんを踏まえた期待値と賢い買い方とは?」参照)で、くじの内容やそれを踏まえた買い方について検討を試みた。

 その中で、「今年は年末ジャンボを○○枚、年末ジャンボミニを△△枚買いそろえて、いろいろな高額当せんを狙ってみよう」と、2つの宝くじからポートフォリオを組成して、その価値を存分に味わう買い方をお薦めした。だが、具体的なポートフォリオの組成については、特に言及していなかった。

 そこで、本稿では、2つの宝くじからどのようにポートフォリオを組成するか、つまり、くじ購入の配分法について検討してみたい。

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証券投資で用いられる「現代ポートフォリオ理論」をベースに検討

 まず、「2つの宝くじからなるポートフォリオ」という言い回しは、あまり聞きなれないかもしれない。ただ、ポートフォリオなどと大上段に構えなくても、生活の場面では、2種類のものを組み合わせて買う機会はしばしばある。

 例えば、スーパーの惣菜コーナーに餃子のパックが並んでいるのを見て、それを今晩の夕食とすることにしたとしよう。餃子のパックには、焼餃子と水餃子がある。どちらも食べたいので、それぞれ何パックかずつショッピングかごに入れることにした。さて、それぞれ何パックずつ買うべきか。この場合、購入者はあまり意識せずに、焼餃子と水餃子のポートフォリオを組成していると言える。

 ポートフォリオという用語は、証券投資でよく用いられる。一般に、証券投資の場面では、複数の証券について、各証券への投資金額を決定する。投資金額の総額が決まっている場合は、それをどの証券にどれだけの割合で投資するかという配分を決めることとなる。

 そこで、よく使われるのが「現代ポートフォリオ理論」だ。この理論の基盤となる分散投資理論を提唱したアメリカの経済学者ハリー・マーコウィッツ氏は、その功績により、1990年にノーベル経済学賞を受賞している。

 本稿では、この理論をもとに、年末ジャンボと、年末ジャンボミニの2つの宝くじからなるポートフォリオを考えていくこととする。なお、もとになる宝くじは2つだが、その配分割合は無数に設定できるため、ポートフォリオの数も無数に考えられる。