リスクを最小にしたい場合のジャンボ、ジャンボミニの「配分割合」

 リターンとリスクを設定した上で、それらを図の中でグラフに表していくと以下のようになる。横軸にリスク、縦軸にリターンをとっている。右に行くほどリスクが増大し、上に行くほどリターンが増えることになる。


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 大抵の人は「リスクはできるだけ小さく抑えつつ、リターンはできるだけ大きくしたい(ローリスク・ハイリターン)」と考えるだろう。この図でいうと、左上の方を目指すことになる。

 だが、現実はそう甘くはない。リスクを小さくしたければリターンも小さくなってしまう。リスクを大きくとらないと、大きなリターンは得られない。まさに、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」ということわざそのものだ。

 図で言えば、ローリスク・ローリターンならば左下、ハイリスク・ハイリターンならば右上の方にいく。左上の方にはなかなかいくことができない。

 そこで、2つの宝くじをある比率で購入するポートフォリオで、リスクとリターンの関係がどうなるかを図に表してみて、その中からできるだけ左上の方のポートフォリオを選ぶ──これが、現代ポートフォリオ理論の考え方をもとにした、今回の宝くじ購入の配分法の核心部分だ。

 次の図では、まず右上の端点に年末ジャンボ、左下の端点に年末ジャンボミニがくる。そして、2つの宝くじへの配分割合〈年末ジャンボにr、年末ジャンボミニに(1-r)(0≦r≦1)配分〉をいろいろ変えていった場合のポートフォリオの点がその間に並ぶ。それらを表したものが、オレンジ色の曲線のグラフだ。なお2つの宝くじは独立に行われるとして、相関関係はないもの(相関係数はゼロ)と想定している。


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 年末ジャンボだけを購入した場合が赤い点、年末ジャンボミニだけを購入した場合がピンク色の点に相当する。

 年末ジャンボのリスクは22万3607円、リターンは10億円。一方、年末ジャンボミニのリスクは5万円、リターンは5000万円だ。これらの金額は、図の中では(22万3607円、10億円)とか、(5万円、5000万円)といった感じで、中学校の数学で習う座標平面の(x座標、y座標)のように表示している。

 茶色の点は、r=0.05の場合で、リスクを最小にしたもの、つまり1等と前後賞の当せん金の受取額のブレを最小にしたものだ。投資理論では「最小分散ポートフォリオ」と呼ばれる。

 これは、あるお金を全て使って2つの宝くじを買う場合に、とにかくリスクをできるだけ減らしたいという場合の買い方だ。「最小分散」のときには標準偏差が最小となり、リスクが最も小さくなる。

 つまり、リスクを最小にしたいのならば、年末ジャンボと年末ジャンボミニの配分割合を5%と95%の割合で買えばよいという結果になる。

 この場合、リターン、つまり1等前後賞合わせての当せん金は9750万円となる。リスクの大きい年末ジャンボには5%しかお金を投入しないため、1等前後賞のリターンは9750万円にとどまることとなる。まさに、ローリスク・ローリターンとなっている。ただし、冷静に見れば、9750万円のリターンでも十分に大きな金額だ。