年末ジャンボの「リターン」と「リスク」についての考え方
現代ポートフォリオ理論は、ポートフォリオのリスクとリターンの関係を明らかにするものだ。通常は、縦軸にリターンとしてポートフォリオの期待収益率、横軸にリスクとして収益率の標準偏差(統計における指標の一つで、データ群のばらつき具合を表す値)が用いられる。
だが、宝くじの場合、平均的には買うと損をするものであり、期待収益率はマイナス50%程度となる。これをそのまま理論に当てはめても、結果の解釈は困難と考えられる。そこで、リスクとリターンの考え方について何か工夫をする必要がある。
まず、リターンについて。宝くじのリターンとは何か、一言でいえば1等と前後賞の合計の当せん金額と言っていいだろう。そこで、年末ジャンボは10億円、年末ジャンボミニは5000万円とする。
次にリスクについて。これはリターンに対応して、1等と前後賞の標準偏差、つまり1等と前後賞の当せん金を受け取る場合のブレをリスクとみなすことにする。
具体的には、くじ1枚に対して、1等の賞金を前後賞の分も合わせて、年末ジャンボは10億円、年末ジャンボミニは5000万円とみなし、2等以下(1等の組違い賞を含む)の当せん金はすべてゼロとしたうえで、その標準偏差を計算してこれをリスクとする。
実際には、くじを連番で3枚買う場合、1等の前後賞だけが当せんするといったことも起こり得るが、今回は話を簡単にするために、そうした一部分だけの当せんは考慮しない。
このように、リターンとリスクを設定した上で、話を進めていく。