윤재 손によるPixabayからの画像

 本来は2025年の「お正月」に、お届けするつもりだった私本来のホームグラウンド、音楽の話題で「井上道義ファイナル」こと第54回サントリー音楽賞受賞記念コンサート(2024年12月30日 サントリーホール)を紹介しようと思っていました。

 ところが元日から39度台の熱、やっと復調したら、今度は音楽家の訃報が続き、結局ひな祭りにこの原稿を書いています。

 井上道義氏は年齢不詳の指揮者と見えます。40~50年前も、今も、あまり変わらずワルツを華麗に踊って見せる。

 加齢の跡は見当たらない(陰で大変な努力をしているわけですが)。まあ、長髪がスキンヘッドに代わりましたが・・・。

 実際には1946年生まれの78歳。その彼が自らの活動にピリオドを打ちました。

「井上道義」は、私にとって「渡世上のアニキ」に相当する人です。

 彼の演奏を最初に聴いたのは、まだ髪の長かった30歳、デビューから間もない「日フィル定期」ヴァイオリンの黒沼ユリ子さんをソリストに迎えたコンサートでした。

 1990年代には40代の彼の傍近くでご一緒する数年を過ごし、いくつも決定的な宝物をもらったと思います。すべて、形のない音楽の宝物です。

 あれから30余年。いまだ余力も残しながら、ベストの状況で潔く幕を引くとして引退を宣言、実際に「ファイナル」は終焉となりました。

 道義さんの音楽人生をなぞると、そこには自分自身の数十年も重なってきます。それを振り返る意味でも、きちんとしたまとめを書いておかねばと、昨年末には思っていました。

 ところが、です。私自身のインフルエンザに続いて、年明けから相次いだ音楽家の訃報。

 まさか、かねて引退を表明していた道義さんを追い越して、アッキーこと秋山和慶先生が亡くなるなど、夢にも思っていませんでした。

 道義さんが「引退」を表明したのは2021年、年齢不詳のスキンヘッドですが、この時点ですでに74~75歳になっていました。

 それから3年間、2022年から24年までのスケジュール、いわば指揮者としての「終活」を自らプロデュース。

 その詳細はご本人のブログに譲って、ここでは他のメディアが報じないトピックス、伝説も多い道義さんですが、書ける内容を記すようにします。