(3)包括的戦略パートナーシップ条約の締結

 2024年6月19日、北朝鮮を訪問したロシアのプーチン大統領と金正恩総書記は「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。

 金正恩書記は同条約を「同盟」と呼び、ロシアとの軍事的協力関係を強化することで、日米韓3か国に対抗する狙いがあると見られる。

 他方、ロシアはウクライナ戦争で北朝鮮から軍事的支援を受けていることを正当化する狙いがあると見られる。

 ここで、過去のロシア・北朝鮮関係を簡単に振り返る。

 1961年に当時のソ連と北朝鮮との間で「ソ朝友好協力相互援助条約」を結んだ。

 この条約はどちらか一方の国家が第三国から攻撃を受けた場合に共に軍事行動を行うという軍事同盟であった。

 しかし、1991年のソビエト連邦の崩壊や冷戦の終結などの国際情勢の変化により、「ソ朝友好協力相互援助条約」は1996年に破棄・失効した。

 そこで2009年に新たに、軍事協力がない「ロ朝友好善隣協力条約」を結んだ。これでロ朝関係は軍事同盟の関係から、親密な友好国家の関係に切り替わった。

 そして今回、「ロ朝戦略的パートナーシップ条約」が締結された。これで、両国関係は軍事同盟に回帰した。

 2024年10月18日、韓国の情報機関・国家情報院は、北朝鮮の特殊部隊のおよそ1500人が今月、北朝鮮からロシア極東に移送されたと明らかにした。

 今回の北朝鮮の派兵は、6月にロシアと北朝鮮が締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」に基づくものとみられる。