3.軍事同盟に回帰するロ朝関係

(1)北朝鮮の核実験弾道ミサイル発射に対する国連の制裁

 冷戦中はソ連が北朝鮮を援助していたが、1990年代からKGBによる北朝鮮クーデター陰謀事件(注1)などでほぼ停滞した。

 ソ連崩壊後に新たに成立したロシア連邦は北朝鮮よりソ連時代に関係正常化した韓国を重視するようになった。

 ロシアは、2006年に行われた北朝鮮の核実験に対する安保理決議1718(注2)に基づく北朝鮮への経済制裁にもたびたび賛成したため、北朝鮮から、中国とともに「米国に追従した」などと批判された。

(注1)北朝鮮クーデター陰謀事件とは、一般には1992年に北朝鮮の軍部内で発生したクーデター陰謀事件であるとされているが、実際はKGB(ソ連国家保安委員会)による工作事件とされている。

(注2)国連安保理決議1718は、2006年に行われた北朝鮮の核実験に対する安保理決議で、一般に「北朝鮮核実験実施に対する国連制裁決議」と呼ばれる。制裁の主な内容は次のとおり。

①北朝鮮に対し、これ以上の核実験と弾道ミサイルの開発・発射の中止を要求。

②北朝鮮に対し、核拡散防止条約と国際原子力機関(IAEA)への復帰を要求。

③北朝鮮に対し、既存のあらゆる核計画と大量破壊兵器を完全な、検証可能な、不可逆的な方法で放棄することを決定し、核不拡散防止条約とIAEAが定める条件に厳格に従って行動することを決定。

④北朝鮮に対し、直ちに無条件で6者会合に復帰することを要請。