(舛添 要一:国際政治学者)
10月1日に内閣総理大臣に就任した石破茂首相は、9日に衆議院を解散した。政権発足後8日という戦後最短の解散で、10月15日公示、27日選挙という日程である。首相は、「日本創生解散」と命名したが、自民党派閥の裏金問題への対応が選挙の大きな争点になりそうである。
低支持率での発足
10月1〜3日に行われた大手新聞社の世論調査によれば、内閣支持率は、朝日新聞が46%、読売新聞が51%、毎日新聞が46%、日経新聞が51%となっている。
読売新聞が実施した1996年以降の歴代内閣の発足直後の支持率を見ると、橋本内閣(1996年1月)57%、小渕内閣(1998年7月)33%、森内閣(2000年4月)42%、小泉内閣(2001年4月)87%、第一次安倍内閣(2006年9月)70%、福田内閣(2007年9月)58%、麻生内閣(2008年9月)50%、鳩山内閣(2009年9月)75%、菅直人内閣(2010年6月)64%、野田内閣(2011年9月)65%、第二次安倍内閣(2012年12月)65%、菅義偉内閣(2020年9月)74%、岸田内閣(2021年10月)56%、石破内閣(2024年10月)51%である。小泉純一郎内閣以降では、最低の支持率である。
このような低支持率の原因はどこにあるのか。それは、自民党総裁選での石破の勝利が「消去法の選択」だったからである。
9月27日に行われた総裁選の1回目投票で、高市が181票(議員票72票、党員党友票109票)、石破が154票(議員票46票、党員党友票108票)であったが、決選投票では、石破が215票(議員票189票、都道府県連票26票)、高市が194票(議員票173票、都道府県連票21票)であった。
議員票の流れについては、1回目に小泉進次郎、加藤勝信、林芳正、上川陽子を支持した議員たちが石破に投票し、小林鷹之、茂木敏充、河野太郎を支持した議員が高市に投票したようである。菅義偉前首相、岸田首相は石破を、麻生副総裁が高市を支持した。
これは、消去法の選択であり、リベラル色の強い岸田派を中心に、保守色の強すぎる高市を避けた。高市は、自民党保守層の受けは良いが、中道派有権者の広い支持を受けるためには、適当ではないと考えられたのである。