「日本を守りたい。国民を守りたい。地方を守りたい――」。自民党総裁選の決選投票を前にした最後の演説で、石破茂氏はそう述べた。鳥取県出身、第2次安倍政権で初代の地方創生担当相を務めた石破氏が、地方に対して並々ならぬ思いを持っているのは明らかだろう。そんな石破氏と、鳥取県の活性化に向けてともに動いたのが、元鳥取県知事の片山善博氏だ。東京一極集中のトレンドが一向に変えられぬ中、石破新政権に何を期待するか。片山氏に聞いた。
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もう政府は地方に干渉しない方がいい
――第2次安倍政権が「地方創生」を掲げ、石破茂さんが初代大臣になって、この秋でちょうど丸10年です。地方創生の評価できるポイント、評価できないポイント、それぞれどうでしょうか。
片山善博氏(以下、片山氏):地方創生というのは、あまり評価できません。むしろ地方の自ら考える力が弱くなったと思います。
地方のことを知らない、本来得意でない人たちがやるからこんがらがってしまうんです。最近、特に霞が関の役人がそうですが、東京圏生まれ、東京育ちの人が多いんです。昔と様変わりしています。
東京で生まれ育って、東京のことはよく知っているけど、地方のことはわかっていない。わからない人たちが、地方のことをあれこれ言っているのは、私なんか地方出身ですから、滑稽に見えてしまうんですね。
鳥取県知事時代に災害を経験しましたが、地域のことをよく知っている人たちが中心になって復旧を進めないと、ピントがずれてくるんです。ところが、安倍政権は特にそうでしたが、パフォーマンスをやるわけですよね。「プッシュ型」だとか言って、どんどん物資を送りつけたり、人を出したりしてくる。地方はそれを持て余している。
災害も地方政策もそうです。政府は、地方のことに過度に干渉しない方がいいと思います。国は外交や防衛に注力して、地方のことはそれぞれの地方が主体的に取り組む、どうしても地方ができないことを国は支援するのを基本とすべきでしょうか。