京都大・吉田キャンパスの時計台と新城元総長の像。教育格差を考える一連の授業を終え、京大生たちは何を学んだか京都大・吉田キャンパスの時計台と新城元総長の像。教育格差を考える一連の授業を終え、京大生たちは何を学んだか
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 生まれという初期条件によってもたらされる「教育格差」。ここにスポットライトを当てた京都大1年生の授業が、2024年度前期に開かれた。高校までの日常・学校生活を振り返り、そこに潜む教育格差の存在に気づくことで、京大生たちは何を学んだか。全8回にわたる連載の最後となる今回は、京大生たちが授業を通して得た気づきについて振り返った。学生たちのディスカッションを「実況中継」風に紹介する。

<第1回>なぜ、親が大卒だと子も大卒に?京大生が教育格差を考えた…「3DS買ってもらえなかった」にみる階層再生産の子育て
<第2回>「どの高校に行くか」は、実は「生まれ」が決めている…“特殊すぎる”京大生「高校あるある」から教育格差を考えた
<第3回>「学歴はあなたを守ってくれるよ」京大生が受けた進路指導での“洗脳”、成績上げた学生と違和感抱いた学生と…
<第4回>「給与がよくなる」から大学進学?大卒なら高卒の1.4倍…京大生が考えた、進路指導に金銭的利益を用いることの功罪
<第5回>「男子トイレだけ扉なし」「性教育は男女別」そこに潜む隠れたカリキュラムとは?京大生が経験した学校のジェンダー

<第6回>「一般入試で入られへんのに、ラクしやがって」京大生が激論…京大で始まる“女性枠”入試は、格差是正につながる?
<第7回>非行少年を奈落の底に突き落とすか、再包摂するか…カギを握る“ラベリング”京大生、教育格差の学びをどう生かす?

(岡邊 健:京都大学大学院教育学研究科教授)

教育格差を学び、実践にどう生かすか

「教育格差を考える」第4講では、教科書『現場で使える教育社会学──教職のための「教育格差」入門』を用いて学んできた内容の振り返りを行った。お題は次の通りであった。

(A)「生まれ」に可能性を制限されない社会をつくるために、人々が知るべき理論、データ、研究成果はなんだと思いますか。教科書全体から3つ選び、それぞれの理由を論じてください。
(B)この授業で学んだ理論、データ、研究成果を、どのように自分自身の日々の生活や人生に応用できると思いますか。

 平均的にいえば、SES(親の職業・学歴・収入などで構成される社会経済的地位)の高い家庭で育ってきた京大生たち。彼らは皆、真剣に「お題」に向き合った。ご覧いただこう。


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