京都大学・吉田キャンパスの正門(写真:kamogawa/イメージマート)京都大学・吉田キャンパスの正門(写真:kamogawa/イメージマート)
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 2024年度前期、京都大で「教育格差を考える」と銘打ったゼミ形式の授業が開講された。子ども本人が変えることのできない「生まれ」(保護者の学歴、出身地域、性別など)によって最終学歴などの教育の結果に生じる差=「教育格差」がテーマ。担当の岡邊健教授(教育社会学)が京大1年生を対象に、教育格差の実状を学び、その存在に敏感になってもらうことを目的に開講したという。有力進学校の出身者が多くを占める京大生は、ある意味で教育格差の象徴的存在ともいえる。彼らは自らの教育体験をどのように振り返り、いかなる観点から教育格差について考えを巡らせたのか?岡邊教授が8回にわたり、この授業の一部始終を「実況中継」風に紹介する。

(岡邊 健:京都大学大学院教育学研究科教授)

受講生15人中「両親高卒」は1人

 本人が変えることのできない「生まれ」によって、その人の学力や学歴など、広義の教育に関する格差が生まれることが知られている。京都大学の1年生対象の授業「教育格差を考える」の趣旨は、教育格差を切り口に、教育と社会との関わり方、学校が教育格差に与える影響などについて学んでもらうというものだ。京大の新入生にこの授業を設定した意味は、連載の第2回で詳述する。

 この授業は、所属学部を問わず受講することができ、定員は15名。希望者は、少なくともその数倍はいたと思われるが、抽選で選ばれたのは、教育学部の学生が6名、その他が9名だった。理系の学生も含まれる。

 また、15名中女性は6名(40%)で、京大全体の分布(全学部学生、約1万3000人のうち女性は22%)よりは、女性比率が高くなった。大学院生1名(女性)がTA(ティーチング・アシスタント)として加わった。

 承諾を得て、全員に両親の最終学歴と出身県を尋ねた。結果は、図のとおりだ(順不同)。


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 高専・短大を含めて考えると、両親が高等教育卒である者は9名(父未回答を除く13名中69%)、父が高等教育卒は11名(同85%)、母が高等教育卒は12名(15名中80%)、父母の少なくとも片方が高等教育卒なのは14名(同93%)。

 出身地は、近畿圏が7名(全体の47%)で、これはおおむね京大全体の新入生の傾向に一致している。