
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)
ひとり「堅実な道」を歩む石破総理
トランプ米大統領による相互関税方針とディールが世界中の株式市場を揺るがせるなか、ひとり地に足のついた「堅実な道」を歩むかのように見える政治家がいた。
石破総理、その人である。
官邸の総理動向によれば、2025年4月9日に行われた「地方創生支援官」激励式に出席し、訓示を述べている。
◎令和7年4月9日 地方創生支援官激励式 | 総理の一日 | 首相官邸ホームページ
石破政権は「地に足のついた政策」を掲げ、地方創生を最重要課題のひとつに位置づけている。ただ、新たに始まった「地方創生伴走支援制度」は実効性に疑問が残る内容になっているように思われる。
そもそも「地方創生支援官」というのは何をする仕事か、読者諸兄姉の皆さんはご存知だろうか。
政府は「地方創生2.0」(!)を提唱し、それを踏まえて、「地方創生伴走支援制度」が創設された。内閣官房と内閣府が事務局を担っているようだ。
同事業の趣旨には、次のような説明が大きく記されている。
地方創生2.0を推進するため、複数の国の職員が、現在の職務を行いつつ、チーム制により1つの市町村を担当し、職務経験等を活かして地域課題の把握や施策立案等の助言等を行う伴走支援制度を創設します。(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局内閣府地方創生推進事務局「『地方創生伴走支援制度』について」より引用)
わかったような、わからないような説明である。それでは任命された国家公務員は一体、何をするのだろうか。