選挙の展望

 衆議院の定数は465で、現有議席は、自民党256議席、公明党32議席、立憲民主党98議席、日本維新の会40議席、共産党10議席、国民民主党7議席、教育無償化を実現する会4議席、れいわ新選組3議席、社民党1議席、無所属など14議席である。

 石破は、選挙の勝敗ラインとして、自民党+公明党で過半数の233議席と述べた。

 野党の選挙準備が遅れ、小党分立しており、また選挙協力も進んでいないために、自民党が大負けすることはないと見られている。しかし、これからの選挙戦次第で、どうなるかはまだ分からない。

 政策については、各党が公約を発表しているが、自民党は、「ルールを徹底して守る政党に生まれ変わる」と宣言する。

 そして、石破カラーを出すために、地方創生のための交付金を倍増するという。しかし、これは、単なるばら撒きの無駄使いになる可能性が高い。

 経済政策については、「成長と分配の好循環」という岸田政権の政策を引き継ぐ。

 また、災害対応力を強化するために、防災庁設置を進める、避難所の環境改善に取り組むなどという。

 しかし、以上の政策は、小泉純一郎が郵政民営化を目玉政策にしたような、迫力も分かりやすさもない。

 もし、自民党と公明党で過半数割れするようなことになれば、首相の責任を問う声が党内で高まるであろう。そうなれば石破おろしが始まる。最悪の場合、自民党の分裂という事態にもなりかねない。

 日本の政治の大きな分岐点になるかもしれない。

【舛添要一】国際政治学者。株式会社舛添政治経済研究所所長。参議院議員、厚生労働大臣、東京都知事などを歴任。『母に襁褓をあてるときーー介護 闘いの日々』(中公文庫)『憲法改正のオモテとウラ』(講談社現代新書)『舛添メモ 厚労官僚との闘い752日』(小学館)『都知事失格』(小学館)『ヒトラーの正体』『ムッソリーニの正体』『スターリンの正体』(ともに小学館新書)『プーチンの復讐と第三次世界大戦序曲』(インターナショナル新書)『スマホ時代の6か国語学習法!』(たちばな出版)など著書多数。YouTubeチャンネル『舛添要一、世界と日本を語る』でも最新の時事問題について鋭く解説している。