発言がブレまくっている石破氏。もう「小言」じゃ許されない(写真:つのだよしお/アフロ)

(立川 談慶:落語家、著述家、筋トレ愛好家)

 自民党の石破茂総裁は10月1日、国会で第102代首相の指名を受け、皇居での首相親任式、閣僚認証式を経て、晴れて石破首相となりました。同日、石破新内閣が組閣されましたが、共同通信社による全国緊急電話世論調査によると、内閣支持率は50.7%とのことでした(不支持率は28.9%)。

 そして、「裏金議員」として派閥裏金事件に関与した議員を次の衆院選で公認することを「理解できない」とする回答が75.6%にまで上りました。これは「理解できる」の20%を大いに上回っています。

 最近の内閣発足時の支持率で比較すると、21年10月の岸田内閣55.7%、20年9月の菅内閣66.4%、12年12月の第2次安倍内閣が62%とのことですから、いかに低いかがおわかりいただけましょう。新内閣の集合写真では、着こなしや立ち居振舞いがどことなく「だらしない」として、SNSでは「だらし内閣」と命名される不名誉も。まさに「嵐の中の船出」ともいうべきスタートであります。

内閣の支持率は低く逆風下の船出に。着こなしや立ち居振る舞いがどことなくルーズに見えることからSNSでは「だらし内閣」とも(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 新内閣の顔ぶれをみますと、キャラが立っている方を中心に述べさせていただきますが、安倍晋三・元首相を「国賊」と発言し党役職の1年間の停止処分を受けた党内きってのリベラル派の村上誠一郎氏が総務大臣として入閣しましたが、落語の「井戸の茶碗」に出てくる「正直清兵衛」という感じでしょうか。

 先の総裁選で候補9人中4位の得票があった林芳正官房長官はまさに玄人はだしのピアノの腕前のイメージもあり、落語家がマクラでいう「人のいいのが甚兵衛さん」という佇まいにピタリときます。

 俳優・歌手としてブレークし、自身が患った病の経験から政治家を志して厚生労働方面で政策のキャリアを積んで今回、少子化・女性活躍大臣に任命された三原じゅん子氏は、上り詰めた実績と華やかな雰囲気から落語「紺屋高尾」の高尾太夫でしょうか。

 閣僚からは離れますが、今回総裁選で石破さんと一騎打ちとなり、総務会長就任を固辞した高市早苗氏は、現実主義で安倍さんへの思いを貫く感じは落語「品川心中」に出て来る「お染」にピッタリです。

 そして同じく総裁選を戦い、石破さんから選挙対策委員長に任命された小泉進次郎氏は落語の中に出てくる「若旦那」ではないか……などなど妄想は楽しく膨らんできます(以上、拙著『古典落語面白キャラの味わい方』(有隣堂出版部)より)

 では、当の石破氏にふさわしい落語のキャラはと考えてみたら、党内基盤も弱く、週刊新潮には「包容力なき雄弁家」と斬って捨てられてはいますが、「党内野党」として弁が立つなどの印象から、ずばり一致するものがありました。

 それが「小言幸兵衛」です。