高齢者などを対象にした新型コロナワクチンの「定期接種」が2024年10月1日から始まりました。これまでの全額公費負担と違い、接種希望者は今後、最大で7000円程度を自己負担することになります。また、今回の接種から「次世代型mRNAワクチン(レプリコン・ワクチン)」も使用されることになりました。このワクチンに対しては使用に懸念を表明する医療関係者もいます。レプリコン・ワクチンで問題とされている点も含め、「定期接種」のすべてをやさしく解説します
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新型コロナ、重症化リスクの高い人には依然として要注意
新型コロナウイルスのワクチン接種は2021年6月から全額を公費負担とする「特例臨時接種」として始まりました(対象は生後6カ月以上)。ただ、感染の爆発的な広がりがとりあえず落ち着きを見せたことから、2023年5月、新型コロナ感染症は感染症法上の位置付けがそれまでの「2類」から「5類」に変更。行動制限なども行われなくなり、2024年3月末にはワクチン接種もいったん終了となっていました。
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厚生労働省によると、この間の接種回数は延べ約4億3619万回で、全人口に対する1〜3回目の接種率は、80.4%、79.5%、67.1%に達しました。1回目と2回目の接種者は10人に8人。かなり高い割合を記録しています。使われたワクチンの製薬企業はファイザーをはじめ、モデルナ、アストラゼネカなどでした。
新型コロナ感染症そのものは5類になって終焉したわけではありません。
厚労省による感染状況の把握は、5類への変更と同時に「全数把握」から全国5000の医療機関のデータに基づく「定点観測」に変更されました。現在では、1医療機関あたりの感染者数の平均値が厚生労働省によって1週間ごとに公表されています。それによると、直近2024年9月16〜22日の全国平均は4.35人。この夏のピークだった7月22〜28日の14.58人と比べると大きく減っていますが、重症化リスクの高い人には要注意の状態が続いています。
誰が対象?自己負担の金額は?
新型コロナのワクチン定期接種は10月1日〜2025年3月末にかけ、全国各地の自治体で実施されます。季節性インフルエンザのワクチンなどと同じように、費用の一部を利用者が自己負担する接種のこと。重症化リスクの高い、以下の人々を対象として実施されます(いずれも強制接種ではありません)。
【定期接種の対象となる人】
◎65歳以上
◎60歳~64歳で、心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限されている人
◎60歳~64歳で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な人
全額公費負担の接種ではないため、接種に際しては費用の一部を自己負担する必要があります。1回あたりの接種費用そのものは1万5300円程度で、このうち8300円は政府が負担。残り7000円を接種希望者と自治体が負担することになります。自治体の負担額はそれぞれに異なっているため、自己負担額にもばらつきが出ます。
例えば、東京23区の場合、千代田区や港区、葛飾区などは無料ですが、江戸川区や大田区、目黒区などは2500円です。一方、新潟市は3800円、千葉市は3300円、名古屋市は3200円、大阪市は3000円など自治体によって差が出ています。なお、いずれの自治体でも生活保護世帯の人などは無料。また、2回目の接種や60歳未満など定期接種の対象にならない人は全額自己負担でワクチンを打つことができます。
では、今回の定期接種では、どんな種類のワクチンが使用されるのでしょうか。