高齢者などを対象にした新型コロナワクチンの「定期接種」が2024年10月から始まります。秋からの接種では「次世代型mRNAワクチン(レプリコン・ワクチン)」が使用されますが、このワクチンに対しては一部の医療関係者が使用に懸念を表明しています。いったい、何が問題とされているのでしょうか。接種制度の変更点も含め、やさしく解説します。
いまだ多くの新型コロナ患者が発生
新型コロナウイルスの発生状況は現在どうなっているのでしょうか。
新型コロナについては2023年5月から感染症法の扱いが「5類」に変更されたことに伴い、それまでの「全数把握」が中止に。その代わり、全国5000の医療機関の状況をもとにした「定点観測」へと変わりました。現在では、1医療機関あたりの感染者数の平均値(速報値)が、厚生労働省によって1週間ごとに公表されています。
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それによると、直近2024年8月19〜16日の全国平均は1医療機関あたり8.80人でした。前週の8.50人より0.30人増。都道府県別では、青森県の17.90人が最多で、全国23の道と県で2桁に達しています。同年7月中旬のピークと比べると減少傾向にあるとはいえ、依然として多くのコロナ患者が発生していることに変わりはありません。
2024年10月から「定期接種」に
新型コロナウイルスのワクチンは、全額を公費負担とする「特例臨時接種」として2021年6月からスタートしました。厚労省のデータによると、2024年3月末までの接種回数は延べ約4億3619万回。全人口に対する1〜3回目の接種率は、80.4%、79.5%、67.1%と高い割合を記録しました。製薬企業の「ファイザー」「モデルナ」といった言葉が、連日のようにニュースとして流れたことを多くの人は忘れていないでしょう。
全額公費負担のワクチン接種は2024年3月末で終了し、2024年10月からはコロナワクチンの「定期接種」が始まります。定期接種とは、季節性インフルエンザのワクチンなどと同じように、費用の一部を利用者が自己負担する接種のことです。対象となるのは、①65歳以上の高齢者、②60〜64歳で重症化リスクの高い人。それ以外の人は完全に「任意接種」となるため、全額を自己負担せねばなりません。
では、接種費用はいくらになるのでしょうか。
厚労省が全国の自治体向けに配布した資料によると、接種1回分のワクチン代は1万1600円程度。それに医師・看護師の「手技料」を加えた費用は計1万5300円程度となっています。厚労省は①と②に該当する利用者の自己負担額を1回7000円と設計しており、その差額は市町村への交付金で賄う予定です。ただし、自治体によっては独自の補助制度を設けているケースも多く、実際の自己負担額はさらに安くなる可能性があります。
定期接種の期間は2025年3月末までで、この間に自治体は接種期間を設定し、希望者にコロナワクチンを接種していくことになります。
この定期接種では、新たに「次世代型mRNAワクチン」も使用されることになっています。「レプリコン(自己増殖型)」とも呼ばれるこの新型ワクチンには、一部の医療関係者などから接種に懸念も示されていますが、いったい、どんなワクチンなのでしょうか。