「人づき合いが悪い」「仲間がいない」といわれてきた政治家がなぜ、5度目の挑戦で自民党総裁の座を勝ち取ることができたのか。首相として何をしようとしているのか。かつては同じ選挙区で戦い、また総裁選の推薦人になったこともある元参議院議員の田村耕太郎氏が、間近に見てきた政治家・石破茂の『真実』を、Facebookに6000字近くで投稿し、話題になっている。その全文を一挙、公開する(田村氏の了承を得て、一部編集しています)。
(田村 耕太郎:国立シンガポール大学大学院 兼任教授、元参院議員)
新首相誕生に元ライバルから愛と期待を込めて
なんとなんとご近所の石破茂さんが首相になられた。おめでとうございます。正直びっくりした。
最近は鳥取への飛行機で席が近くなることがたまにあって挨拶するくらいではあったが、「ああ確かシンガポールにいらっしゃるんですよね。お元気ですか」というとすぐに本を読み始められていた。
石破さんとは浅からぬ因縁がある。鳥取にある彼の事務所は私の生家の並び。ご実家も遠くない。妻の実家のすぐそばだ。
つまり政治家としては選挙区は同じで、選挙で戦ったこともある。彼が初めて出馬した総裁選で私が20番目の推薦人になったこともある。無数の会合にも同席した。
私の義理の兄は、石破さんの中学校のクラスメイト。石破さんの初期の後援会の幹部にはうちの親族も多かった。
鳥取の応接間で語った「総理の心得」
私が政治家を志して米国留学から故郷に帰った後、石破さんご夫妻に何度かご自宅に夕食に招いていただき薫陶を受けた。
国会議員の自宅でご飯するなんて初めてでワクワクしたが、とても質素な暮らしぶりで奥様の手料理はヘルシーな晩御飯だった。
応接は噂通り、プラモデルと軍事兵器図鑑にあふれていた。本題の政治の話題に入るまで、軍艦の名前の付け方の各国の違いとかミサイルの射程距離についてレクチャーを受けてその博識ぶりに感心した。
「あなたの志が高そうなのはいいことだ。政治家の評価は政策などではなく、当選回数のみであり、大臣というのは一般企業で言えば課長の位のイメージである。そこから初めて政策が語れる」
「総理になってもできる政策は一つくらい」と。
やっぱり子供のころから家庭教育で政治家予備軍として鍛えられている人は違うと思った。