選挙で戦って「ヤバい人だ」と悟った

 その後もいろいろあったが、政治家でもない頃、そして選挙の相手として、総裁選などでご一緒して、近くで石破さんを見てきた印象を共有してみたい。

 激突もした仲だからこそ、見えた側面もあると思う。もちろん、人間は時とともに変わる部分もあるので、私のは古い情報かもしれないが。

 もちろん、信義則上許される範囲でである。

①とにかく忍耐強い

 今や総理になられるくらいの人望をお持ちだが、私と衆院選でぶつかった時は、私もそうだが、地元ではいろんなことを言われた。未熟な私は感情的になることも多々あったが、石破さんは何を言われても黙って聞いていた。

 地元の宴席でも、石破さんは日本酒を酌み交わしながら、延々と地元の人々の意見を最後まで聞いていた。そのせいで私もなかなか離席できず、睡眠不足になった。

②体が丈夫

 酒もたばこもかなり飲まれる。脂っこいものを好んで何でも食べる。

 当時は地元と鳥取を分刻みのスケジュールで回られていた。特に冬場に自宅での葬儀などに呼ばれると、雪が降り積もるなかで石破さんがコートも着ないで庭に立っておられた。

 肩に雪が積もっても平気に葬儀が終わるまでおられた。梅雨時の街頭演説でも雨に打たれながら傘もささずに話しておられた。こちらは風邪をひきそうになっているのに、石破さんは平気だった。

 かなり身体の免疫力が遺伝的に強いんだろうなと当時から思っていた。身体の丈夫さはリーダーのとても大事な条件だと思う。

 2000年の衆院選で激突したとき、狭い鳥取一区なので12日間の選挙期間中、何度もお互いの選挙カーが遭遇した。

 石破さんが箱乗りを超えて助手席の手すりだけ持って身体全体を車の外に出して走っていた。こりゃヤバい、と思った。当時でも完全に道路交通法違反だったが、全身を車外に放り出すあの乗り方は初めて見た。